パニック障害

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NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

カルテ35<精神科、心療内科>パニック障害

2009/9/30

 


急に息が詰まる感じと、このまま死んでしまうのではないかという恐怖-。
「パニック症候群」の原因は過度のストレス。生き馬の眼を抜くという芸能界での羅患も多く、ワイドショー等で取り上げられることがある身近な病気です。

(概説)

不安障害と呼ばれる一群の疾患の中に位置づけられる病気です。中心になる症状は激しい不安とそれに伴う多彩な身体症状であり、循環器系の救急外来など他の専門科を受診して検査の結果異常はないというケースが多く見られます。実際、東京都などの救急出動の原因となる疾患の上位を占めていると言われています。

(症状)

ある日突然発作は起こります。動悸、息苦しさ、胸痛、発汗、ほてり、手足の震え、めまい、非現実感、狂ってしまうのではないか、死んでしまうのではないか、しびれ感などの症状が突然出現します。最初の発作以降は、予期不安といい「また発作が起こるのでないだろうか」という不安が続くようになります。これが本疾患の中心的な症状と言えます。多くの人は「地下鉄」「高層ビル」「エレベーター」「映画館」などすぐには逃げ出せないところを嫌い、ひどい場合はそこに行けなくなります。これを「広場恐怖」と呼んでいます。

(診断)

病状経過や症状から専門医の臨床経験から比較的容易に診断されます。心電図などの身体的検査でなにも異常がでないことも本疾患の診断の助けとなります。最初の発作の時に、睡眠不足などの慢性疲労があったり、元来用心深いなどの性格も影響はします。

(治療)

パニッック発作を消失させ、予期不安を解消させることが治療の目的となります。従来はアルプラゾラム(商品名:ソラナックス、コンスタン)というベンゾジアゼピン系抗不安薬が特効薬として使われていましたが、最近ではそれに加えて、他の抗不安薬やSSRIとよばれる抗うつ剤に属する一連の薬剤も使われます。いずれも専門医により経過を観察しながら薬の匙加減をしていくことが重要です。精神療法としての認知行動療法は、他の精神疾患と同様とても重要ですが、日本では、保険制度や経済的な理由などから普及していないのが現状です。

(生活、予防上の注意)

癌と同じく早期診断早期治療が重要だと考えています。また、予防的行動として、物事に固執せず、ストレスをためず、オーバーペースにならないように日頃の生活リズムをコントロールすることが大切です。認知心理学の勉強をするのも良いことだと思います。

    

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