食中毒

カルテ19

内科

食中毒

NKH「健康ライフ講座」№19

2005.7

日本機械保線株式会社 社内報


暑さの厳しくなるこの時期から秋にかけて、食中毒の発生しやすい季節です。食中毒の感染者数は30年にわたってあまり減少する兆しがありません。毎日の食事でも発生する機会は意外と多いものです。基本を押さえた正しい予防により、食中毒の被害に遭わないように心がけましょう。


原因

食中毒とは食品、その添加物あるいは食器などに起因する中毒のことです。原因物質としては、サルモネラ、腸炎ビブリオ、病原大腸菌、ブドウ球菌などの細菌のほかにも、化学物質やフグ等の自然毒などがありますが、8割以上は細菌です。

昨今、小型球菌ウィルス(ノロウィルス)による食中毒が多く報告され、注目されています。原因となる食品としては、サルモネラが肉、卵、乳製品などからの感染が多く、学校の食中毒としても頻度が高く認められます。腸炎ビブリオは生魚介類やまな板に付着した様々な食品等、病原大腸菌はサラダや肉(特にひき肉、レバー)等、ブドウ球菌はおにぎり、サンドイッチ等からの検出が報告されています。

症状・診断

細菌性食中毒は、嘔吐、腹痛、下痢といった急性胃腸炎の症状を呈することが多く、脱水の改善を目的とした十分な補液が治療の中心となります。持続する発熱、血便、意識障害などの重症化のサインを認めた場合には速やかに医療機関を受診し、入院経過観察や抗菌薬投与が推奨されます。

診断には便や推定原因食品からの培養による菌の検出が原則です。

予防と対策

厚生労働省では、家庭でてきる食中毒の予防ポイントとして以下の6つのポイントを挙げています。

  1. 食品の購入時(生鮮食品は新鮮なものを購入。消費期限の確認。肉汁などの水分を漏らさない。速やかな冷蔵・冷凍保存)
  2. 家庭での保存(冷蔵庫に詰めすぎず、目安は7割。冷蔵庫の温度は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下)
  3. 下準備(調理前、生肉や魚の扱い後の手洗い、包丁やまな板の衛生、速やかな解凍)
  4. 調理(十分な加熱~中心の温度が75℃で1分間以上)
  5. 食事(手洗い、調理前後の食品を室温に長く放置しない)
  6. 残った食品(清潔な器具、皿に小分けして冷蔵庫へ、温め直しも十分な加熱、怪しい時は食べずに捨てる)

“細菌をつけない、細菌を増やさない、細菌を殺す”を三原則に、基本をしっかり押さえた食中毒の予防に努めましょう。

    

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