慢性肝炎

カルテ17

内科

慢性肝炎

NKH「健康ライフ講座」№65

2001.7

日本機械保線株式会社 社内報


現在200万人以上の患者数とも推定される慢性肝炎ですが、肝癌の原因ともなる肝硬変へ進行するおそれもあるため、非常に注目されている病気です。厚生労働省は平成14年度から、総額600億円の予算を投入して40歳以上のすべての成人にB型、C型肝炎の検査を実施するという対策をとっています。肝炎とはあらゆる原因による肝臓の炎症の総称で、その原因も様々です。
今回は肝硬変の原因の90%を占めると言われている、慢性のウイルス肝炎の概論を説明します。


原因

一般的にアルコールが原因と思われがちですが、日本での原因はほとんどがウイルスです。ウイルス性肝炎の中でも特に、肝硬変や肝臓癌といった重い肝臓疾患への移行率が高いのは、B型・C型肝炎です。感染源としては、ウイルスに汚染された血液の輸血を受けることや、薬物乱用者の間での注射器の回し打ち、出産時の母子感染、性行為感染などが挙げられますが、ウイルスの種類こよつて感染経路は異なります。
最近10年以内に発見されたウイルスもあり、今後の解明が必要です。病態が明らかになるにつれ、献血用血液から感染血液を除く検査が採用されて輸血後肝炎が大幅に減るなど、感染予防のための対策が進められています。

症状

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、特に慢性肝炎についてはほとんどが症状なく進行します。そのため肝癌死亡者の7割以上を占める慢性C型肝炎も、末期になるまで感染に気付かず手遅れになるケースもあります。
症状は食欲不振や疲労懲、腹部の不快感、痛れ、膨満感などです。

治療と対策

肝炎の原因によって治療方法は異なりますが、ウイルスを駆除できる、またはウイルスの増殖を抑制できる抗ウイルス剤が最新の治療として注目を浴びています。また研究の成果により、治癒率も改善されてきました。
感染経路は血液や性行為を介することが主ですので、家族への感染が心配される場合も、同じカミソリや歯ブラシを共有するなどのことがなければ、日常生活における接触で感染することはないと考えられています。

    

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