熱中症

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NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

カルテ41<救急救命科、内科>熱中症

2011/7/22

 


(概説)

人間の身体は、いろいろな環境に適応できるように自動調整する機能を持っています。その一つに体温管理があります。外気温にかかわらず、体温を36度から37度程度に維持しようとする仕組みが備わっています。こういった機能を総称して「ホメオスターシス(恒常性)」と呼びます。しかし、異常な高温環境下にさらされることによりこういった体温の恒常性機能に支障が生じることがあり、それを熱中症と呼びます。

(症状)

程度により、様々な症状が見られますが、軽度の場合はこむら返りや、立ちくらみなどが生じ、中等度になると、強い疲労感、めまい、頭痛、吐き気、体温の上昇などが見られるようになり、さらに進むと、意識障害や全身けいれん等の脳神経の症状が出現するような重症となります。

(診断)

症状が起こった状況から専門医が判断します。頭部外傷や脳卒中、心因性のものなどとも鑑別が必要な場合がありますが、主には症状経過から診断がつくことが多いでしょう。

(治療)

軽症の場合は、涼しい場所で、安静にし、ナトリウムの含んだスポーツ飲料等の水分補給で改善します。中等症になると、病院での輸液等が必要になり、重症では、致死率が高くなる重症では、早急な救急救命処置を含んだ対処が必要な場合も多々あります。

(生活、予防上の注意)

高温多湿環境での長時間、強度の運動、作業中に生じることが多いので、まめな休憩と水分補給が大切です。直射日光下だけでなく、夜間でも高温で風通しの悪いようなところでの長時間作業には注意が肝要です。身体が順応していない作業の開始初日などは特に慎重にした方がよいでしょう。睡眠不足や不規則な食事や二日酔いなどは避けるようにしたいものです。予防、対処法ともに「FIRE」と呼ばれる処置を覚えておきましょう。FはFluid(フルイド)の略で水分補給、IはIcing(アイシング)で冷却、RはRest(レスト)で休息、EのEmergency(エマージェンシー) は緊急事態で、救急車を呼びましょうという意味です。

    

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