アナフィラキシー

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NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

カルテ46<救急>アナフィラキシー

2012/10/15

 


特定の原因物質により引き起こされた全身性のアレルギー反応をアナフィラキシーと呼びます。専門的になりますが、アレルギー反応にかかわるIgEという抗体を介して生じる即時型アレルギーに加えて、原因物質が肥満細胞と呼ばれるアレルギー関連細胞などに直接作用して生じるアナフィラキシー様反応も含めてアナフィラキシーとして同様の治療を行なう必要があります。しばしばショック状態を起こし、命にも関連する致命的な病態です。原因物質としては、抗生物質や鎮痛解熱剤、造影剤などの薬剤や輸血、食物、ラテックスなど様々ですが、最近問題になっているのはハチ(特にスズメバチ)に刺されて起こす場合があります。また運動により誘発される場合もあり、この場合は診断が難しくなります。

(症状)

数秒から数十分以内に症状が出現することが特徴です。ほとんどの場合、紅斑(こうはん)や蕁麻疹(じんましん)のような皮膚症状が現れます。かゆみもあることが多いです。血圧も下がることが多く、気分不良、めまい、耳鳴り、冷や汗、唇のしびれ、胸の苦しみなどショックを思わせる症状が出現します。また、死因の一つである気道の狭窄(きょうさく)による息苦しさやゼーゼー感、更に重症になると意識障害も生じます。

(診断)

症状経過から迅速に診断しなければなりません。たいていの場合は診断がつきますが、心筋(しんきん)梗塞(こうそく)や肺(はい)塞栓(そくせん)などと見分けないとならない場合もあります。

(治療)

とにかく救急治療が第一です。原因となる物質を避けて、ショック症状に対処しなければなりません。状況にもよりますが、気道確保、輸液とともに、アドレナリン(ボスミン)を投与します。1度軽快しても、数時間後に悪化する場合もありますので、最低でも24時間の厳重な観察が必要となります。

(予防、その他)

アナフィラキシーを起こしたことのある人は、自己注射用のアドレナリン製剤を携帯する事が急場をしのぐ方法となります。いずれにしろ、本疾患が疑われた場合はすぐに救急病院へ搬送する事が大切であると、知っておくことが重要です。

    

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