夏ばて

カルテ3

内科

夏ばて

NKH「健康ライフ講座」

2001.9

日本機械保線株式会社 社内報


今年は残暑もきつく、「夏ばて」で体の調子を狂わせている人も多いことでしょう。夏の疲れを取り去り、気持ちよい秋を迎えるため、今回は「夏ばて」についてお話しします。

原因

暑さにより、体内の水分調整が狂うことが主な原因です。汗をかくことで体外に放出される水分や電解質の量が、吸収される水分や電解質の量を超えてしまうのです。

また、暑いと消化機能が低下し、本来必要とする栄養素が不足します。そうなるとますます食欲がなくなる、といった悪循環が生じます。蒸し暑さによる睡眠不足も追い打ちをかけます。

症状

そもそも「夏ばて」は厳密には医学用語ではなく、夏期に食欲がなくなり、身体がだるく、何もする気がおこらないといった状態を指す言葉として一般化しているもの。血液検査や尿検査をやっても正常範囲で、いわゆる「病気」という範囲に入らないものを指すことが多いです。

対策

原因から考えてもわかるように、こまめな水分補給が必要です。この「こまめ」というところが大切です。

冷たい飲み物ばかり一気に摂取すると、吸収されずに、胃ばかりが膨満して胃酸も薄まり、食欲をさらに低下させてしまいます。夏場は、少しずつ水分補給を行うことが正解なのです。あまり冷やさずに、体温に近い温度のもののほうが吸収しやすいので、喉の乾きをいやすための冷たい飲み物と、水分補給用の生ぬるい水分を区別して摂取するのも1つの方法ではないでしょうか。

不足しがちなビタミンを補給するベく夏野菜や果物をしっかり食べることが、夏ばて防止の第2の戦略となります。

消化機能を整えるオクラ、利尿作用を持つきゅうりやスイカ、免疫力を高めるビタミンAの豊富なピーマンやかぼちゃ、胃液の分泌を促進するトマトなどは夏ばて防止の力を兼ね備えています。

また、消化機能を向上させるために香辛料も上手に使いましょう。香辛料は胃液の分泌を活発にして食欲を増進させます。

第3の戦略としては、良質な睡眠をとるように工夫することです。クーラーをつけっぱなしで眠らない、アルコールを飲みすぎない、起床時間を-定にするなど、睡眠の基本を守りましょう。

こうして考えてみると、健康の3種の神器「快食」「快眠」「快便」にことさら留意することこそ、夏ばて対策の秘策だったわけです。

    

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