肺炎

カルテ15

内科

肺炎 

NKH「健康ライフ講座」№63

2004/7/15

日本機械保線株式会社 社内報


肺炎は、いろいろな病原体が肺へ感染して起こる、肺の炎症の総称です。主な感染経路は気道ですが、他部位の感染巣から血液の流れに乗って病原体が肺組織へ侵入し発症する場合もあります。特に高齢者や糖尿病、癌などの基礎疾患を有する 患者さんが発症した場合は、病原体が血液を介して全身に広がる敗血症という症状という状態を引き起こすなど、致命的になることがあります。肺炎を起こす病原体としては、細菌のほかにウイルス、マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア、原虫、真菌(しんきん)などがあります。


○症 状○

多くの場合は発熱、全身のだるさ、咳、色のついた痰などの風邪症状に引き続き、呼吸困難、胸痛、特に重症な場合はチアノーゼや意識低下などが認められます。発熱も多くの場合39度異常まで上がります。しかし高齢者や体力の低下した人では、無熱性肺炎といって発熱が軽微なこともあり注意が必要です。軽い症状であれば自宅での治療も可能ですが、呼吸困難や40度以上の発熱、悪寒、頻脈、意識低下、チアノーゼ、胸痛などを認める場合は少しでも早い入院治療が必要です。

○診 断○

症状および胸部のレントゲン写真によって行います。また血液検査での炎症性変化の所見(白血球数増加、CRP高値など)があればより確かとなります。診断の確定のためには病原菌の検出が必要になり、痰の細菌培養や血液検査による抗体(特定のウイルス、マイコプラズマ、レジオネラなどを対象)などの検査を行います。診断において最も重要なのは、結核や癌に合併する肺炎と鑑別することです。

○治療と対策○

治療は、全身管理および症状に対する対症療法と、原因となっている病原体に対する薬物治療からなります。全身管理においては特に水分および栄養補給、安静、加湿が基本となります。入院治療が必要な場合はさらに心拍数や呼吸、体温、血液中の酸素濃度などをみながら点滴、酸素投与、人工呼吸管理などを行います。

薬物治療については、原因となっている病原体によって薬が使い分けられます。多くの場合、病原体によって薬が使い分けられます。多くの場合、病原体が判定される前に抗生物質の投与(軽症であれば内服薬で、中等~重症の場合は点滴)がなされますが、病原体によっては特殊な治療を要するため、診断が重要です。例えば、近年、循環式浴槽水やシャワー、ホテルロビーの噴水などを介した感染・発病が報告されているレジオネラ肺炎や、若年に多く集団感染としても注目されることの多いマイコプラズマなどは、通常の抗生物質では効果が得られないため、正確な診断のもとに治療をしなければ悪化してしまうことがあります。

    

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