くも膜下出血

 

 

カルテ37

脳神経外科

くも膜下出血

NKH「健康ライフ講座」№86

 2010/7/21

日本機械保線株式会社 社内報


人一倍健康に留意し、体を鍛えているはずの元プロ野球選手が突然、くも膜下出血で前途を絶たれたニュースはショッキングなものでした。前兆を見逃さず、慎重に対処することが重要となる病気です。


○解 説○

急激な脳血管障害の発作を脳卒中と呼びますが、その1割程度を占めるのがくも膜下出血であり、命を脅かすとても怖い病気の代表といえます。外傷や動静脈奇形というものが原因の場合もありますが、たいていは動静脈の破裂が原因となります。日本では、年間に10万人中10~20人が発症すると推計されています。また、動静脈は人口の2%~3%の人がもっていると推定されていますが、その大きさなどにより破裂の危険性は異なってきます。

○症 状○

突然の激しい頭痛で、たいていの場合は「今まで体験したことのない、金づちで殴られたような頭痛」というように表現されます。まれに軽い頭痛のみで来院されることもあります。重症の場合は、意識障害を伴い、即死ということもあります。

○診 断○

診断は症状から推定されることが多いようですが、確定診断としてX線CT検査が用いられます。軽症の場合は、腰椎穿刺という方法で髄液を採取し血液が混入されているかどうかで診断される場合もあります。くも膜下出血が診断されれば、動脈瘤の場所を調べるために、血管造影を行います。従来からのカテーテル検査に加えて、MRIを使った方法も進歩してきています。

○治 療○

治療が極めて困難な病気ですが、最近の医療技術の進歩により、救命率が上昇してきています。全身管理と再破裂防止の手術の両輪が治療の中心となります。開頭して、動脈瘤の付け根の部分にクリップをかける方法が標準ですが、血管内治療といって、動脈からカテーテルを通じて、動脈瘤の中に詰め物をして再破裂を防ぐ方法も場合により選択されます。

○生活、予防上の注意○

高血圧の管理が基本となりますが、脳ドックなどにより、破裂前の動脈瘤を発見し、予防的治療をすることが可能になってきました。2~3㎜の小さな動脈瘤は破裂の危険性が低いので経過観察となりますが、5㎜を少し超えている程度の場合の判断が難しく、専門医と納得のいくまで相談する必要があります。

 

 

    

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