第1回 標準治療とは

 

第1回 標準治療とは

NIKKEI NET
日経WagaMaga

2007.2

日本経済新聞社


標準治療2006

「自分は的確な治療を受けているのか?」そんな患者の疑念を一掃するため、「治療ガイドライン」をつくろうと尽力し続ける寺下謙三医師。そんな思いのもとに監修した『家庭のドクター 標準治療』(日本医療企画刊)は、既存の家庭医学書とは一線を画す本となっている。「主侍医」制度と理想の医療を追求し続ける寺下医師に、「標準治療」を知る意味と、患者が持つべき意識を聞いた。


日本の医療技術は世界トップレベルにありますが、多くの患者さんは自分が的確な治療を受けているのか、常に疑問を抱いています。医療の分野が進歩し、細分化したため、同じ病気でもさまざまな治療法が用いられているからなんですね。

 こうした患者さんの疑念を拭い去るには、「この病気にはこの治療」というガイドライン、つまり、標準的な治療法というものが何であるのかということが、広く一般に認知される必要があるでしょう。実際、海外でもそうした動きは活発になっています。

一足飛びに「標準」をつくるのは難しいでしょうが、とりあえずの指針をつくることはできないだろうか。そんな思いから、この『家庭のドクター 標準治療』(日本医療企画刊)を出版する運びとなりました。

マスメディアの影響も大きいのですが、人はどうしても先進的な治療に目が行きがちです。しかし、先進的治療には実験的意味合いも込められていますから、誰にでも効果を発揮するとは限りません。保険が効かないケースもあります。その点は注意したい所ですね。もちろん先進的治療を知っておくことも重要ですので、本書でも新しい治療について軽く触れるようにはしています。

本書は広く一般の方に利用してもらう事を念頭に置いていますが、なにぶん医療という特殊な分野を扱っているため、難解な点もあることでしょう。読むのが大変な場合、比較的簡単に病気を説明した「受診のコツ」の部分を読んでいただければと思います。病気のアウトラインだけでも、知ってるのと知らないのでは大きな差がありますから。

    

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