下肢静脈瘤

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №113

 カルテ64 <血管外科> 下肢静脈瘤

 2017/4/24(月)

 

 



〇総論〇

一般に静脈は動脈と違い、心臓のポンプ機能や血管自らの収縮弛緩などによる強い血流はなく、心臓へ吸い上げる弱い力と、周囲の筋肉の収縮による圧迫や重力による流れが血流の原動力になっています。それでも逆流がしないように、静脈の中には弁があります。この弁の調子が悪くなったり、血栓ができ静脈の流れが滞るとその抹消側の静脈にコブができ蛇行します。肉眼的にも分かるようになりますが、主に下肢に生じやすく、それを特に下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)と呼びます。

〇原因〇

妊娠や長時間の立ち仕事が原因となりますが、生まれつきの静脈走行の異常が原因となる場合もあります。

〇症状〇

目で見える静脈のこぶのような腫れ、むくみ、だるさ、かゆみ、疼痛、こむら返り、進行すると皮膚潰瘍などを起こすこともあります。

〇診断〇

ほとんどが視診、触診で診断がつきます。

〇治療〇

自覚症状も少ない軽症の場合は、弾性ストッキングによる圧迫療法と下肢の挙上や筋肉のポンプ作用を促すような運動指導で経過を見ます。外科的治療として、血管内に硬化剤を入れて閉塞させる方法と原因となる静脈を除去する方法があります。後者には従来からのストリッピング手術という血管を外科的に抜去する方法に加えて、レーザーにて焼灼する比較的低侵襲の治療法も近年保険適用になりました。

〇生活上の注意〇

長時間の立ち仕事を避けて、下肢を挙上させたり、下肢の運動をしたり、軽症のうちから弾性ストッキングを着用し悪化を防ぐことも大切です。レーザーを使った治療も進歩してきましたので、気になる症状がある場合は、専門医と早めに相談しましょう。

 
    

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