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魂を売らないということ⑩ 何と比較するのか
2005.5~2006.3 魂を売らないということ⑩ |
ばんぶう 2006.2 日本医療企画 |
《リニアモーターカー 加速減速錯覚相対性理論》
比較評価と絶対評価 人間の順応力に驚く
「取材旅行」と言えばずいぶん格好よい響きがあるが、エッセイのネタ探しを兼ねて今年は国内各地に行った。その流れで先日上海を訪れた。目的の一つはリニアモーターカーを体験してみることでもあった。「世界に誇れるもの」を体験することはホスピタリティーの研究には欠かせないと思っているからだ。
駅はずいぶんあっさりとしたもので、東京モノレールの駅より閑散としている。お祭りのような雰囲気のな
かを搭乗するのかと想像していたが、若干期待はずれである。とにかくそのスピードを体験しに来たのだから、余分な飾りの部分はよろしい、とわくわくしながら乗り込んだ。シートベルトでもあるかと思っていたが、なんの変哲もない三人がけシートである。
車内には速度を示す電光掲示板がある。一〇〇km、二〇〇km、とみるみる上昇。もっと静かなのかと想像していたが結構騒音がある。三〇〇kmぐらいのときは「さすがに速い。このスピードでは車の運転はできないなあ。やはりF1ドライバーはすごいんだ」と思った。三五〇kmを越えたあたりからすこし怖い感じがしてくる。最高速度の四三〇kmになると、ただ乗っているだけでも洛ち着かない気分になる。長時間乗ると神経も相当疲れるだろう。幸いにも最高速度を数分間保った後、あっという間に終点が近くなり減速を始めた。三五〇km、三〇〇kmとなると、「あれっ? このスピードだと車の運転が出来そうだ」と感じ
るではないか。二〇〇kmとなるとバイクでも付いていけそうだと感じ、
一〇〇kmの時は自転車でも追い越せそうに感じてしまった。ほんのわずかな出来事の問に、我々人間の感覚は混乱をきたしてしまったのだから驚きである。私だけでなく同乗した数人の仲間も同じように感じたらしい。人間の順応力の素晴らしさであろうが、ひとつ間違えばすごく怖いことになるかもしれないということになる。強烈な刺激であるはど、この慣れ現象は起こりやすいのであろう。
人間の並外れた能力の一つに「比較評価」というものがあると私は考えている。反面、「絶対評価」がすこぶる苦手なのも人間であるまいか。
つい先日、友人であり世界的なアルツハイマー病研究者であったNさんの三回忌に参列した。「幸せは追い求めてはいけない。欲になるからです。手に入るとすぐにそれだけでは満足できなくなるものです。幸せは拾うものです。どこにでもあるものなのです。その時その時に感謝することです」というお話をお坊様からお聞きし、幸せの絶対評価が出来ることこそ、幸せの基本条件なんだと自戒した。仏つくつて魂入れず、成功しても幸せならず。