2004年9月
グローバルより顔なじみ⑤ 策略は名誉の友よ コリオレイナス!
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2004.5~2005.4 グローバルより顔なじみ⑤ |
ばんぶう 2004.9 日本医療企画 |
先日、劇団昂のシェイクスピア公演「コリオレイナス」を観劇した。勇敢な武将であるが、プライドが高く、執政官に推薦されるも民衆への媚びた挨拶をどうしてもできない。「なんでも慣例に従ってやらねばならぬというのか? そうであれば昔からの塵がそのままたまり、間違いばかりが山のようにうず高く積もり、真実は埋もれかくされるだろう」
なんとか息子を名誉ある執政官にしたい母親ヴォラムニアは説得する。その時の殺し文句が「策略は名誉の友よ」なのである。シェイクスピアを見るたびに、400年たっても、人間は同じことをやっているのだなあ、と思う。それだけ臨場感を持って語るシェイクスピアの凄さなのであろうが、人間の心自体は何百年も何千年も進歩していないのだと痛感する。意識しているか潜在意識かは別として「策略は名誉の友だ」と自己を納得させている利権政治家や出世ばかり考えるサラリーマンなど例を挙げればきりがない。私は、自分の身の回りに「策略は名誉の友」と思いそうな人を少なくとも半数以下にしたいと考えている。格好をつけて言っているのではなく、人生の後半に際し、数多くの(グローバルな)知人より、少数でも安心できる顔馴染みの友人たちと過ごす時間をなるべく多く持ちたいと考えるようになった。仕事でも、少数精鋭の信用・信頼できるスタッフとともに、心から信頼してくれているクライアントのために、身も心も知恵も捧げたいと願っている。人の価値観は同じようで人により随分違う。大きく分けて二つあるように私は思う。若干哲学的な表現になるが「自分に近い考え方の人々」と「その反対の人々」である。もちろん、時には「ブルータスよ、おまえもか?」とがっくりくるのは仕方のないことではあろうが。
『標準治療2004・2005』のポイント
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正しい治療へ導く水先案内役 『標準治療2004・2005』のポイント |
ホスピタウン 2004.9 日本医医療企画 発行 |
正しい治療へ導く″水先案内役″
医療決断を支援する機能に期待大
- ご挨拶
- 『ガンなどの大きな病気になった時の主侍医の活動』
- 『病院で行なわれる検査』
- 『医療判断・医療決断支援外来』
- ご購入・ ご質問
自分が受けている治療は標準的で適切なものか? という疑問に答えるべく、2002年4月に発刊された家庭版ガイドラインとも言うべき『標準治療2002・2003』(日本医療企画発行)。2年の時を経て今年8月に、さらにスケールアップした改訂版『標準治療2004・2005』が上梓される。総監修者の寺下謙三氏に、同書発刊の意義と改訂のポイントを聞いた。
あふれる情報のなかから必須のエキスを抽出
…『標準治療2004・2005』は、どのような狙いをもってつくったのですか。
- 寺下
- 患者さんが求めているのは安心・納得できる医療ですが、あまりにも情報が氾濫していて、どれを選んだらよいのかわからないのが現状でしょう。治療方針に納得するためには、いくつかの要素が必要だと思います。特に大切なことは、まず詳しい情報を知ること。もう一つは、たくさんある情報のなかからエキスを取捨選択することです。たとえば、本書の「受診のコツ」の部分はとても簡略に書いています。詳しい情報も確かに必要ですが、それよりも大事なことはエキスの抽出だと思い、ポイントが一目でわかるように工夫しています。今回の改訂では、「世の中にあふれている情報のなかから、必要な情報を抽出すること」に、初版以上に気を配りました。
また、「あなたの『医療決断』を支援する本」というサブタイトルを付けたのは、「患者さんが受けている治療は安心できる標準治療ですよということを知って、納得してもらいたい」という理由からです。決して、「その治療は間違っていますよ」と脅かすのではなくて、「今受けている治療は正しいんですよ、安心してよいのですよ」ということを、本書を通して伝えていきたいと思います。
現場で実際に行われている「事実上の標準治療」がわかる
…医療決断というものが、どうして今、必要なのでしょうか。
- 寺下
- 私たちは何かをする時、「納得」して「決断」してから「行動」しますよね。これは医療に限ったことではなく、たとえば食事をする時も、どのくらい費用をかけて、どんな物を食べようかということを決めてから行動するわけです。もしその食事が失敗だったら、次は食べなければいい。
しかし、医療の場合は命にかかわりますから、そのような試行錯誤はなかなか難しい。ですから、医療を受ける場合は決断が非常に重要になります。たとえば、手術をして切るか切らないかという決断だけではなく、医者に行くべきか、何科に行くべきかなど、さまざまな決断の連続なのですね。そうした決断を正しくするための道具として、この本を有効に活用してほしいと思います。
本書では、執筆陣である第一線の専門医が現場で一般的に行っている治療を「標準治療」と位置づけています。厚生労働省や学会主導で作成される「公的標準」ではなく、「デファクトスタンダード=事実上の標準」ということになります。患者さんにしてみれば、「今、この病気については、日本の優秀な専門医にかかれば概ねこのような治療が受けられる」ということがわかるわけです。
また、これは完成品ではないので、今後、現場の意見を吸い上げて、必要な意見は次回改訂時に、本書に反映させたいと思っています。ですから現場の医師で、自分の医療標準はこのようなものだという意見があれば、ぜひ教えてほしいのです。
充実した執筆陣と掲載内容話題の疾患項目や別冊も
…初版の『2002・2003年版』と比べて、どのような点が充実していますか。
- 寺下
- まず、執筆陣の専門医が66人から116人に増えたことです。
その選定についても、患者さんをアクティブに診ている医師を中心に、私自身が患者になっても安心して診てもらえる医師ということを条件にしました。
また、掲載項目も増やしました。たとえば「話題の疾患」という項目を新設し、心原性脳梗塞、低髄液圧症候群、BSE、心臓突然死などを取り上げています。それから、読者の皆さんが医療に接する時の水先案内と決断の支援をするために「医療決断支援科」という項目を設けているのも特徴です。本書のエキスともいうべき部分なので、購入されたら最初に読んでほしいですね。あと、「最新の検査」や「医療専門用語」に関する別冊も付けました。
最後に強調しておきたいのは、私が常日頃の診察の時から気をつけていることでもあるのが、「アカデミック=学術的」、「プラクティカル=実践的」、「カンファタ ブル=人にやさしく」 の3つをバランスよくかみ合わせて本書をつくったということです。この3つが揃っていることが納得診療のコツとも言えます。
…医療者にはどのように使ってほしいですか。
- 寺下
- 本書は専門書に比べるとコンパクトにまとめていますから、短時間でその病気のことがわかります。
自分の専門外のことを調べるには非常に役に立ちます。ですから患者さんに説明する時に非常に参考になると思います。「受診のコツ」は、これを基本にして、この順番どおりに説明すれば、患者さんは納得するのではないでしょうか。「受診のコツ」に掲げる項目は、患者さんが聞きたいことだと思いますので、アレンジして読み替えて説明してあげるとよいと思います。
私自身もかつて、「医者が本を調べたら、患者さんからこの医者は信用できないと思われるんじゃないか」と思っていました。だから、薬の説明をする時など「念のため薬の名前をチェックしましょう」と、言い訳をして調べました。ところが、患者さんからは「あの先生はわざわざ自分のために本で確認してくれている」というように評価されるようになって驚いたのです。きちんとした態度で本を調べて確認するということは悪いことではないと気づきました。患者と会話をするツールとして利用してほしいですね。
女性のためのこころとからだクリニック
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健康と医療フォーラム 特別シンポジウムパネルセッション 女性のためのこころとからだクリニック |
2004.8.8 |
- 【主催】・健康と医療フォーラム実行委員会・日本経済新聞社・NHK
- 【後援】・土厚生労働省・経済産業省・文部科学省
- 【協力】・日本医師会・日本医学会・東京都医師会・日経BP社・日本医療機器関係団体協議会・日本製薬工業協会
- 【会場】・東京ビッグサイト
- 【パネリスト】・髙木博美・対馬ルリ子・野田順子・寺下謙三
- 【コーディネーター】・野村浩子
寺下謙三 講演テーマ『安心医療のための主侍医システム』








『信頼するマイドクター 女性の健康管理に重要』
「健康と医療フォーラム」の特別シンポジウム「女性のためのこころとからだクリニック」が8月8日、東京・江東の東京ビッグサイトで開かれた。対馬ルリ子・ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック院長、高木博美・高木ひろみ乳腺レディースクリニック院長、野田順子・野の花メンタルクリニック院長、寺下謙三・寺下医学事務所所長兼寺下謙三クリニック院長が「信頼できる″マイドクターを持つライフスタイルヘ」をテーマに意見を交わした。司会は「日経ウーマン」の野村浩子編集長。=文中敬称略
ライフステージごとの女性の体の変化と女性特有の病気やその予防法などについて討論
寺下謙三 「患者の決断に支援役を」 2004.9.9 日経新聞 夕刊より
患者は医療とかかわるなかで、さまざまな決断と行動を迫られる。寺下医学事務所では、患者の決断を支援している専門の医者を「医療判断医」と名付けて啓蒙(けいもう)活動をしている。
医師と患者の関係を説明するときに「父子主義」という言葉が不可欠だった。父と子の関係は、干渉的に、時には強制的にというのが基本的な精神。これは世界中の医師と患者の関係を支配していた考え方でもあった。特に日本では「医は仁術」との言葉のように、患者は医師に安心して頼ってきたのが現状だろう。
だがここ二十年くらいの間に、医療情報の開示を求める声が大きくなるなど、さまざまな環境の変化があった。現在の日本の医療は「自分の健康は自分で守る」「医療を提供する側が十分な説明にもとづいて患者が自分の責任で選択する」という流れになっていると思う。また、一人の医師があらゆる分野に専門性を発揮するのもむずかしくなってきている。
こういう状況のもとで、実際に患者が自分で選択しなければいけないのはきついことだと思う。一人の医師の診察では満足できず、セカンドオピニオン、サードオピニオンと複数の医療機関を受診しても結局満足しないことにもなりかねない。よって、専門医の選別などをしてくれる医師がいれば、患者にとっては安心なことだろう。
このようなシステムは皇族の医師団である「侍医」と似ていることから、「主侍医(しゅじい)」と名付けた。主侍医は相談や医療決断の支援のためのプロのこと。治療担当医とは別の存在で、健康なときから患者を見守ってくれる。
主侍医システムは、現在の健康保険のシステムには取入れられていない。このシステムを使おうとすれば、自由診療や保険外の診療となってしまう。健康保険に主侍医制度が取り入れられることを願う。
現在の我々の取り組みは実験的な要素がある。日本のかかりつけ医が主侍医システムを実践できるようにサポートし、患者に安心をもたらしたいと考えている。
- 寺下氏 患者との愛称を考慮
- 野田氏 専門に応じ医師紹介
- 高木氏 自分に合う医師選ぶ
- 対馬氏 若い人も検診は大切
- 司会
- セカンドオピニオンを重視する女性が増えたが、上手な利用の仕方にコツはあるのだろうか。
- 寺下
- 日本の現状では、セカンドオピニオンという言葉だけが独り歩きしていると思う。むしろ、まずは一人、信頼できる医師を見つけて、その意見を信頼すること。セカンドオピニオンはその意見を支援するもの、と考えた方がいいだろう。選択肢が多いと、どんどん迷って苦しくなることもある。セカンドオピニオンを求める場合は信頼できる医師からの紹介で診てもらうと確実だろう。
- 対馬
- 私のクリニックでは「コンシェルジェ」といって、その人かどういうふうに受診したらいいのかを手助けする電話相談をしている。ここに例えば、「今かかっている医師に手術した方がいいといわれた。どうしたらいいか」という相談があった場合は、女性が医師に納得するまで質問をしたか、その医師からもらった検査データを持っているのかどうかなどをまず確認する。そのうえでセカンドオピニオンを求めている場合は、検査データや紹介状を主治医からもらって来ると早いというふうに助言している。
- 司会
- いたずらに不安に陥る前に、最初の医師ときちんとコミュニケーションを取る力を身につけることが第一歩かもしれない。
- 高木
- 注意したいのは、女性の医師であれば必ずしも女性にとっていいとは限らないこと。むしろ女医の一言で傷つく場合もある。男性でも、女性の気持ちに配慮し、きちんと鋭明してくれる医師はたくさんいる。性別にとらわれず、自分の気持ちをくんでくれる医師を選んでほしい。
- 対馬
- 最後に婦人科医として、女性たちには若いうちから検診の習慣を身につけてほしい。今は若い女性の婦人科がんも増えている。医師とコミュニケーションができるようになっていれば、重病になった際も早く対処できる。いざ病気になってから良い医療を短時間で選ぶのは難しい。お気に入りの美容院を見つけておくように、普段の検診を通じて、何でも相談できるマイ・ドクターを探しておくことを提案したい。
- 司会
- 婦人科、内科など、女性が分野ごとのかかりつけ医を持つのは難しい。
- 対馬
- まずはかかりつけ医を一人見つけて、その個人的なネットワークから紹介してもらうのも一つの方法だ。私は女性外来に携わる医師が問題点や認識を共有し合い、勉強していくためのネットワークづくりを進めている。このネットワークには産婦人科、内科、外科、皮膚科、口腔(こうくう)外科など様々な医師が参加している。こうしたネットワークも生かし、患者さんと、ずっと友人のようにお付き合いしていきたいと思う。
- 寺下
- 我々の進める「主侍医」活動でも、医者のネットワークは必需品だ。自分と同じように友人のような立場で患者さんを診てもらうには、相手の医師と顔なじみであることが欠かせない。さらに相手の医師について、例えば「内科の循環器系でバイパス手術が専門」といった得意分野の情報から、その医師の趣味に至るまで細かく情報を管理し、紹介する患者さんとの相性などを考慮する際にも役立てている。主侍医システムでは健康な時から契約してもらう。実験的実践で利用者はまだ少人数だ。直接お手伝いできる患者さんの数は限られるので、間接的なお手伝いとして数年前から標準治療に関する本を出版している。この本を通じ、自分の受けている治療が今の日本のスタンダードな治療かどうか調べてもらう狙いだ。
- 高木
- 乳がんは特殊で標準治療がどこででも受けられるわけではない。100%告知する疾患のため、手術を避けようとする余り、科学的な裏付けのない民間療法に走ったり、乳房を温存できるといってくれる医師を求めてドクターショッピングしたりして、本来は治せるのに数年後に残念な結果が伝わってくる患者さんが後を絶たない。ぜひ、科学的根拠に基づいて自分の年齢や体質に合った助言をしてくれるかかりつけ医を見つけてはしい。
- 野田
- 医師のネットワークという点でいうと、精神科は入院が必要な例もあるので、私のクリニックから病棟がある開かれた病院を紹介することなどがある。さらに精神科もパニック、ADHD(注意欠陥多動性障害)など細分化されているため、専門性に応じ医師を紹介し合っている。日本では精神科はまだ敷居が高いが、企業の健診でストレスチェックなども導入されてきた。かかりつけ医としての機能も徐々に認知されていくのではないか。
月経異常 企業の理解欠かせぬ
月経の異常は、ホルモンバランスの乱れや無理なデイエットのほか、精神面での不安定さなど、様々な要因が影響して起こる。症状もさまざま。月経前から月経期間中にひどい腹痛や腰痛、おう吐などの柱状がある「月経困難症」や、月経がない状態が続く「無月経」。月経のような出血が頻繁に起きる「頻発月経」のほか、月経前にいら立ったり、気持ちが落ち込むなどの精神的症状が出る「月経前症候群(PMS)」など多岐にわたる。
対策としては基礎体温をつけ、月経の周期や血量、痛みなどを記録し、具体的に説明できる準備をして、女性外来や婦人科などを受診すると効果的だ。
こうした月経異常については、男性や企業の理解不足が課題の一つ。厚生労働省の研究班は200年に20~40代の女性の27.3%が生理痛のために仕事や家事を休み、半年間で約1.890億円の労働損失が生じているとする調査をまとめた。
生理痛の苦しみに対して、「周囲の理解がない」が全体の4割以上あり、職場の理解がないために、痛みがあっても受診を控えて、症状を悪化させているケースが目立つ。男性や企業の認識を高める対策や女性への支援策強化が求められている。
女性の乳がん健診 エックス線撮影が効果的
女性の乳がん検診は1987年以降、態勢の整った市町村から順次実施されて来た。これまでは30歳以上が対象で、検査方法は専門医による問診と視触診のみだった。だが、視触診では「1.2㌢程度のがんは発見できても、それより小さいがんを発見するのは困難。女性のがん罹患(りかん)率で乳がんがトップになるなど患者が急増する中、小さながんを見落とす事例も出ていた。このため、厚生労働省は乳がん検診の指針を今年4月に改正。検査方法を視触診に加え、乳房エックス線撮影(マンモグラフィ)との併用にするよう市町村に求める一方で、対象年齢は40歳以上に引き上げ、30歳代の検診を廃止した。マンモグラフィーは乳房を上下、左右から器具で挟んで固定し、エックス線撮影するので発見の可能性が高い。マンモグラフィーでの検診が普及した米国や英国でも、乳がんの死亡率減少に効果を上げている。ただ現在、国内には検診の基準に適合したマンモグラフィーが不足気味。マンモグラフィーの撮影技術を持つ放射線技師や、エックス繚撮影したフィルムを分析する読影医も不足しており、マンモグラフィーによる検診を実施していない市町村が多いのが現状だ。
女性ホルモン バランスの乱れ、影響大きい
女性ホルモンは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」 「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類あり、いずれも卵巣の中で作られる。エストロゲンは排卵の準備をするホルモンで、生理の終わりごろから排卵前にかけて分泌が高まる。プロゲズテロンは排卵後に分泌され、排卵を抑制する働きがある。 2つの女性ホルモンは波のように一定のリズムを保って分泌されており、脳や心臓、血管といった身体の機能や臓器を調整する役割を果たしている。月経も女性ホルモンによって調整されており、ストレスや急激なダイエットなどによるホルモンバランスの乱れは月経異常など女性の体に大きな影響を与える。更年期障害も卵巣の老化によりエストロゲンの分泌が減少し、ホルモンバランスに急激な変化が起きることが要因だ。それまで、女性ホルモンの働きで守られていた臓器や機能が老化し、肩こりや頭痛、発汗などの身体的な症状や、不眠や抑うつ、気力減退などの精神的な症状も引き起こす。こうした症状に対しては、減少した女性ホルモンを補うホルモン補充療法などの治療法がある。女性外来や婦人科への受信が必要だ。
セカンドオピニオン 法整備求める声も
治療法の選択肢が限定されることなどを避けるため、主治医以外の医師に治療法などの意見を聞くことを、セカンドオピニオンという。医療技術の向上で治療法が多様化する疾患が増えたことで必要性か高まった。劣悪な治療による医療被害を回避する効果もある。近年では、セカンドオピニオン外来設置する病院も増加、ホームページなどで受診体制を紹介している。今月からは市民団体「セカンドオピニオン・ネットワーク」(東京都西東京市)か、乳がんや血液がんについて協力医リストのホームページでの公開を始めるなど、セカンドオピニオンの協力医探しを手助けする動きもある。ただ、セカンドオピニオンは公的医療保険の適用対象外で医療機関の収入に結びつかないという課題もある。医師のボランティア精神に支えられているのが現状で、普及に向けた法整備を求める声もある。患者が上手な活用法を知ることも大切。セカンドオピニオンを受ける際には、主治医にその旨をきちんと告げ、カルテや検査画像などの資料を入手しておきたい。複数の医師の意見を聞いても最終的な判断は患者本人が下さなければならない。
大豆イソフラボン
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Dr.寺下の“スペシャルトーク” 大豆イソフラボン …ゲスト…久保田芳郎先生 |
自然派健康倶楽部 2004年秋号 「自然派健康倶楽部」編集室 |
…ゲスト…
久保田芳郎
キッコーマン総合病院院長(医学博士)
1974年東京大学医学部卒業。同大付属病院、都立墨東病院、都立駒込病院などに勤務し、1988年より米国クリーブランドクリニック・リサーチ・フェロー。1993年、キッコーマン総合病院外科部長を経て、1996年より同院院長。現在、日本大腸肛門病学会評議員、日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医、日本消化器病学会指導医、日本人問ドック学会評議員などを兼務。
大豆イソフラボンは更年期障害の緩和、乳癌の予防が認められています。
大豆イソフラボンとは大豆に含まれるフラボノイド(植物色素の-種)で、女性ホルモンに似たはたらきをします。大豆イソフラボンを摂取するとどのような効果があるのか、お話いただきましょう。
大豆イソフラボンは女性ホルモンの不足にも過剰にも効果がある
- 寺下
- 日本では昔から味噌、豆腐、醤油などさまざまな食品に加工された大豆が食べられてきましたが、大豆イソフラボンの機能性は近年、世界的に注目されているそうですね。
- 久保田
- そうなんです。昨年、4日間にわたってアメリカのオーランドで「大豆(イソフラボン)の生理機能に関する国際会議」というのが開かれ、世界中からさまざまな研究成果が持ち寄られました。
- 寺下
- とりわけ大豆イソフラボンの「女性ホルモン様作用」は興味深いですね。
- 久保田
- ホルモンが作用するためには、細胞の表面にある受容体にホルモンがくっつかなくてはならないんですが、大豆イソフラボンは受容体にくっついて、女性ホルモンと似た作用をするんです。しかし、あくまで「女性ホルモン様」で、女性ホルモンと同じではない。だから、大豆イソフラボンを摂っても血中の女性ホルモン濃度があがってくるわけではありません。
- 寺下
- 女性ホルモンのなかでもエストロゲンに似たはたらきをするそうですね。
- 久保田
- はい。大豆イソフラボンのなかのゲニスティンという物質が、エストロゲンと構造が非常に似てるんですね。ゲニスティンはある時は補うはたらきを、またある時は抑制するはたらきがあるんです。ですから、女性のエストロゲンが低下することによって起こる更年期障害などの疾患に対しては、女性ホルモンを投与したのと同じような形で作用して症状を緩和します。逆に、女性ホルモンが過剰な方がかかりやすい乳癌・子宮体癌などの疾患に対しては、女性ホルモンが受容体にくっつくのをブロックしてガンにかかりにくくすることも期待されています。
- 寺下
- 相反した二つの機能をあわせもっているとは、非常に面白い。今日のポイントですね。
骨粗しょう症や肥満の予防など大豆イソフラボンの機能はさまざま
- 久保田
- 大豆イソフラボンに含まれるゲニスティンは、要は「いいとこどり」なんですよ(笑)。更年期には早期と晩期があって、早期には、ほてり・のぼせ・発汗・動悸・冷え性、自律神経失調症のような連動神経障害などの症状が出ます。それらの諸症状を緩和するために、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲストロン)を投与するホルモン補充療法というのがありますが、乳癌・子宮体癌・子宮筋腫などの発生率が高くなる副作用があります。すでにそれらのガンにかかっている人にはもちろん使えません。ところが、大豆イソフラボンならば、安全です。
- 寺下
- 更年期の晩期や、逆に更年期より前の若い方にも、大豆イソフラボンは効果がありますか。
- 久保田
- 女性ホルモンは骨の代謝に関係していて、閉経を迎えて女性ホルモンが減ってくると、だんだん骨密度が下がり10年~20年後には骨粗しょう症になる可能性が高くなってきます。また、閉経期には悪玉コレステロール値が上がる症状も現れやすくなります。それらに対してもイソフラボンは効果があるという研究結果が出ています。若い女性については、無理なダイエットで栄養状態が悪く、骨密度が低くなっている方も多いので、そういう方に大豆イソフラボンはよいでしょうね。またPMS症候群といわれる月経前のイライラや精神不安などへの作用も期待できるでしょう。
- 寺下
- 食生活で大豆イソフラボンを効果的に摂るにはどのような食品がよいでしょうか。
- 久保田
- 吸収しやすいのはアグリコンという形になっているイソフラボンです。アグリコンは発酵食品、特に味噌に一番多く含まれていますが、味噌は塩分も多いので、摂りすぎはよくありません。そうしたことを考え合わせると、やはりサプリメントで摂取するのがいちばんいいでしょうね。
- 寺下
- なるほど。今後は医師も医薬品だけでなく、サプリメントもうまく使えなくてはいけない時代になりそうですね。








