痴呆

 

老人医療シリーズ

 痴呆

介護ジャーナル

1993.10

イメージラボラトリー「生活介護図書館」発行


さて、この医学塾も最終回になりました。

今回は老人介護でも一番問題になっている“痴呆”について勉強しましょう。

1 次の説明で正しいものには○、誤りなら×をつけて下さい。
  1. 痴呆には主にアルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆とその混合型がある。 
  2. 日本ではアルツハイマー型が多いと言われている。 
  3. アルツハイマー型痴呆の原因は細菌感染である。
  4. 日本の痴呆患者は10万人と言われている。 
  5. 痴呆は治らない。
2 アルツハイマー型痴呆について正しいものを3コ選んで下さい。
  1. 急激に発症する。
  2. 脳が萎縮していく。
  3. 別名老年痴呆ともいう。
  4. アルツハイマーはオランダの医者の名前である。
  5. 現在のところ確実な治療法はない。
3 脳血管性痴呆にについて正しいものを3コ選んで下さい。
  1. 脳梗塞の多発が原因である。
  2. 痴呆の程度と梗塞の大きさは比例する。
  3. アルツハイマー型に比べて人格の変化は少ない。
  4. 日本人に多い。
  5. 手術による治療が一般的である。
4 痴呆について正しいものには○、誤りなら×をつけて下さい。
  1. 病気としての“ぼけ”を痴呆という。
  2. 子供の精神薄弱も痴呆のひとつである。
  3. 日本では65歳以上の5%位が痴呆である。
  4. 一般に、加齢に伴い判断力が低下し、計算力や記銘力が向上する。

解答&解説
1.答   1.○    2.×    3.×    4.×    5.× 

 

欧米ではアルツハイマー型が多く、日本では脳血管性が多いのが特徴です。アルツハイマー型の原因はかなり究明されつつありますが、現在のところ断定的な学説はありません。

日本の痴呆患者は70~80万人と言われています。

痴呆の程度や原因により改善するものもあります。

2.答   2.   3    5. 

アルツハイマー型はゆっくりと病状が進んでいきます。

解剖所見では、脳全体の萎縮と神経細胞の変性やアミロイドの沈着が見られます。

アルツハイマーはドイツの医者の名前です。

彼が最初に報告したことから、この名前が付けられました。

原因がはっきりしないので、確実な治療法は現在ありません。

3.答  1.   3    4.

脳血管性は日本人の痴呆の大半を占めていると言われてきました。

でも最近アルツハイマー型も結構いる(20%~30%)ことが判明してきました。小さい梗塞でも重度の痴呆を来たすことがあります。

性格の変化などは比較的少ないようです。特別な手術法はありません。

4.答   1.○    2.×    3.○    4.×

痴呆は一度獲得した知的能力が低下して、日常の生活に支障を来たすようになった病態をさして言います。

85歳以上では4人に1人が痴呆患者の割合です。これは欧米諸国でも同様の割合です。

一般には加齢とともに計算力や記憶力が低下し、総合的な判断力は向上します。


いかがでしたでしょうか?

今回までの6回の医学塾でちょっとした物知りになったのではないでしょうか。これを機会に“教養としての医学知識”を身に付けてください。 (おわり)

    

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