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正しい生き方から美しい生き方へ⑨ ウサギと亀
1998.4~1999.4 正しい生き方から美しい生き方へ⑨ ウサギと亀 |
ばんぶう 1999.2 日本医療企画 |
今年は兎年である。 例年のごとく私は年初に1年のテーマを考える。いくつか候補を考えた。最終に残ったテーマは「美しき停滞、着実な向上」、「利他のわがまま」、「謙虚な自信」などである。美しき停滞…では、語呂が去年のテーマと似ている。利他のわがままもいいな、と思ったが、最終選考に残ったのは(といっても自分で候補を出して、自分で決めるのだが)、「質実剛健」である。
3年前は「地道、自道、滋道」一昨年はこのコラムのテーマでもあった「温故知新」、昨年は今のテーマである「正しい生き方から、美しい生き方へ」である。不況も定着してくるとそれなりに人々に受け入れられ、新しい感性を呼び起こしてくれる。ただしあのバブル華やかな時代とその残像が残っている時代からみて「新しい」と思われるのであって、落ち着いて考えれば、昔ながらの人間らしさが大切になってきているだけなのである。 昨年のクリスマスにしろ、このお正月にしろ、家族とともに静かに過ごした人が多かったと聞く。かく言う私もミニ引っ越しの片付けもあり自宅でささやかな日々を送った。そんなクリスマスの夜、ベランダの戸を開けると、どこからともなく賛美歌の合唱が聞こえてきて、これぞクリスマス!と静かに感動した。「何も特別なことはなかったけれど、今年のクリスマスとお正月は良かった」と妻はぽつっと言った。
話は脱線してしまったが、このコラムではテーマはまだ、「美しい生き方」である。兎と亀の話を思い出すが、美しさで言えば兎に軍配があがるが、「質実剛健」でいけば亀に軍配だ。次点テーマの「美しき停滞」、「謙虚な自信」から考えて、また卯年も考慮して「兎の皮をかぶった亀」ということにしておくか。
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