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正しい生き方から美しい生き方へ⑩ 相対価値感と絶対価値感 その1
1998.4~1999.4 正しい生き方から美しい生き方へ⑩ 相対価値感と絶対価値感 その1 |
ばんぶう 1999.3 日本医療企画 |
いよいよこのテーマでの話題も余すところ2回になった。
続けてお読みいただいている方は既に美しい生き方を実践されていることと思われる。日本人は(ほとんどのアメリカ人もそうだと私は思っているが)これだけ豊かになったのに、なかなか幸福感が得られないのは、「絶対価値感」の欠如なんではないかと考えている。そしてまた、美しい生き方をするにあたってこの「絶対価値感」が必要だと私は分析している。
最近、音楽家の間で評判になっている「絶対音階」を御存じだろうか。我々凡人は、ドレミのレはドとミの間であるということで表現できるが、単音を声で表現する時は、その度に微妙に(私の場合は「大きく」)周波数は違ってくる。5分前に声に出した「ド」と今声に出す「ド」は、その音階は微妙に違いぴったりとは重ならない。ところが天分の才能がある音楽家はいつでも同じ「ド」を表現できるし、認識もできるのである。同様に「絶対価値感」を「自分自身のなかに価値の尺度を持っていること」と私は定義付けている。
逆の「相対価値感」を簡単に説明するならば「隣の人にくらべてうちは裕福で幸せ」「開発途上国にくらべて先進国の日本やアメリカの国民は幸せ」と感じることである。冗談ではない。開発途上国にも日本のお金持ちよりずっと幸福感を持って暮らしている人はたくさんいる。我々の日常を振り返ってみると、この「相対価値感」に振り回されていることのいかに多いことか。
私は今「絶対価値感」を養うトレーニングの開発を考えている。「絶対音階」は天分で、訓練では養われないそうだが、「絶対価値感」は、後天的にもトレーニング可能ではないかと考えている。読者で良い方法を思いついた方は是非御教示いただきたい。
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