質実剛健②  子供達へのメッセージ

 

1999.5~2000.4

質実剛健②  子供達へのメッセージ

ばんぶう

1999.6

日本医療企画


日本にしろアメリカにしろ少年達が物騒な事件を起こすたびに「最近の若者はなっていない、怖い」などと言われる。若者といっても、年輩者にとっても経験してきた時期があるわけだし、むしろ大人の鏡だと考えてもいい。結構「ひとの振りみて我が振り直していく」ものなのである。昔は「末は博士か大臣か」と研究者や政治家などは、子供達にとって目標やあこがれの職種であった。
でも、今の現実は政治家も大学教授も大会社の社長も医者も弁護士もスポーツ選手もかっこが悪い。少なくとも、電車の吊り広告の週刊誌の見出しを見ている限りは無条件で尊敬できる職種や人が皆無である錯覚を起こす。そんな中でまともに育つことは至難の業である。子供の前で偉そうなことを言っても、子供達はそんなことより親や大人の実際の背中をみて育つものなのである。そしてその影響力は大きい。
 先日、中学生の我が次男の机をみると、紙切れになにやら墨で漢字の練習をした跡がある。よくみると「質実剛健」「温故知心」「初心忘るべからず」「誠実」など、読者の方もご存じのように私がいろんなところで書いたり話したりしている言葉である。見ぬ振りして見てるものである。そして「知心」と改良しているところがまたよかった。後日、その次男に「温故知新の[しん]は新しいと書くんだよ」とさりげなく言うと、「えっ?あ、そう。意味もなく書いたんだけど…」と照れくさそうにしていた。「嘘つくな!」「物を大切にしろ!」と怒鳴りつける前に、我々親がまず自分をきちんと見つめることの方が大切だと痛感した次第である。次回は、この次男の友人達から教えられた「BBQ-Method、新個人主義」をご披露しようと考えている。乞うご期待。

    

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