質実剛健⑤ 二つの悪い心

 

1999.5~2000.4

質実剛健⑤ 二つの悪い心

ばんぶう

1999.9

日本医療企画


「汝ねたむなかれ」かのキリストも言われた説教である。
日本人は特に「ねたみ、そねみ」を持つ民族のように言われることをよく耳にするが、世界共通の人間の邪悪な心なのかもしれない。人間にとって大きな悩みの一つは、自分の内なる邪悪な心との戦いなのかもしれないと思っている。
気に入っている映画の一つに(親友に勧められ最近観たのであるが)「scent of a woman」というのがあるが、その主人公のアルパシーノが「私は今まで、どちらの道を選ぶのが正しいか、たいていの場合はその答えを知っていた。しかし、そちらを選ばなかった。たいていの場合、正しい道は困難だったから。」というようなセリフを言う。含蓄のある言葉である。
たいていの悪者は、悪いことを認識しているのだろうか?私は、「人間の悪い心には二つの種類がある」とよく言っている。「車を盗む悪者」と「車にこっそり傷をつけていく悪者」である。前者は、「自分の利益のためになら、何でもする」という心が隠されている。後者にはいわゆる嫉妬心が根源に隠れている。「他人が苦しむのを陰で楽しむ」わけである。どちらも怖いものであるが、私個人は後者が嫌いだ。前者の中には、ひもじさのあまり食べ物を盗む行為も含まれるので同情の余地がある場合もある。後者には同情のかけらもない。あなたの周りの悪い人間を思い起こしてほしい。どちらかのタイプに分類されるはずだ。両方持つ者は、即刻離縁すべき極悪人である。そうはいっても誰の心にもこういった邪悪な心が発生する危険をはらんでいる。
そこでこう考えてほしい。物質的には満たされつつある文明国日本では、他人の笑顔を得ることは最高の贅沢な喜びではなかろうかと。本当のあなたは邪悪な心ではなくこの「利他の心」が基本である筈である。「朱に交われば赤くなる」仲間選びも大切である。

    

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