C型肝炎

日経ヘルス 

医療判断医 Dr.寺下謙三の誌上診察室

C型肝炎

日経ヘルス2004年春号

2004.4

日経BP社発行


相談

先日、友人がC型肝炎のキャリアであることがわかりました。発症すると、肝硬変や肝臓ガンになると聞き、非常に恐怖感を持っているようです。

どういう人がC型肝炎のキャリアの可能性が高いのですか。(42歳・男性)


Dr.

C型肝炎という病気がわかったのは、今からわずか15年前のこと。それまでC型肝炎を引き起こすウイルスは見つけられず、非A非B型肝炎といわれていました。そのため予防措置が遅れてしまったのです。
現在、40~45歳以上の人の約25人に1人がC型肝炎ウイルスの保持者であるという説があります。これほどまでに多くなったのは、子供のころの予防接種が原因のひとつといわれています。
というのも、昭和40年ごろまでは、学校の予防接種のとき、注射針の先をアルコール綿でふくくらいで、何人も使い回しにしていたのです。僕自身も、医者が「針の先が曲がったのでそろそろ換えなきゃな」といっていたのを覚えています。予防接種以外に、手術の際の輸血で感染したケースもあります。
C型肝炎が恐ろしいのは、ウイルスを保持している人が慢性肝炎になり、やがて肝硬変、肝臓ガンヘと悪化の道をたどることです。肝臓ガンの70~80%が、C型肝炎から発症するといわれています。
C型肝炎ウイルスはカゼなどのウイルスと違って、感染したとしても何十年もまったく症状が出ない期間が続きます。ですから、現在40歳以上の人は、一度血液検査を受けて、感染の有無を確かめておいたほうがいいでしょう。
2002年から、地域健診でC型肝炎検査が受けられるようになりました。詳細は保健所や市町村役場に尋ねてみてください。
C型肝炎には、インターフェロンというウイルスの増殖を抑える薬が有効です。この薬を早めに投与すれば、発症を抑制できたり、進行を遅らせられます。

    

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