少数精鋭主義② シンプルライフのすすめ

 

2000.5~2001.4

少数精鋭主義②

シンプルライフのすすめ

ばんぶう

2000.6

日本医療企画


少数精鋭を端的に言うと「量より質」ということになるが、これはあくまでも相対的なものである。前回、「量を減らさないでも、質を高めることにより少数精鋭主義を実行したことに等しい」ことをリストラを例に説明した。
理論上はそうであるが、例えば友人の数、スタッフの数、クレジットカードの数、愛車の数などを想定しても、時間軸を含んだ4次元で考えると、いくら質を高めようとしても適正な量には限界がある。この原則を間違えると、楽しい仲間のはずの友人が苦しみを提供してくれるし、ボスの仕事の能率を上げてくれるスタッフがボスの足を引っ張ることにもなる。多すぎるクレジットカードは盗難、紛失の可能性が高くなり、クレジットカードではなくリスキーカードとなってしまう。
「モノをあまり持たずに生活をシンプルにしよう」という提案をする「シンプルライフのすすめ」なる本が流行している。エコロジーにも適合する考えであろう。生活をシンプルにすると、かえって充実すると私は思っている。今は、カラー写真が当たり前になっているが、白黒フィルムで一度写真を撮ってみてほしい。写っている風景や人物、状況がむしろ生き生きとし、語りかけてくるように感じるから不思議である。
こういった「飾りを省くことにより、本質が見える」という作用がシンプルライフの勧めのひとつの理由であろう。心の熟成のためには、「シンプルライフ」が不可欠である。世間のいわゆる成功者は、意外と心の空しさを感じて、それを紛らすために仕事を次から次へとこなし、また事業や業績を拡大していくという良〔悪?〕循環なのであるが、心の空虚さは決して癒されない。

    

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