パニック障害(怖くて、電車にも乗れなく…)

Dr.寺下のズームクリニック

パニック障害

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1996.5

朝日生命保険相互会社発行


怖くて、電車にも乗れなく…

患者さんの悲鳴

営業部のAさん(32歳、男性)

最近営業成績もかんばしくなく、毎日不眠と過労感に悩まされていた。そしてある朝、通勤電車の中で急に呼吸困難、動悸、めまい、手足のしぴれ、冷や汗が突如出はじめ、救急外来に。

でも心電図などの検査も異常なく「過労でしょう」とのこと。その後、電車の中でたぴたび同様の発作が出現するので、怖くて電車に乗れなくなってしまった。

判断、治療

パニック障害の典型的な症状ですね。
今までは不安神経症や閉所恐怖症として扱われてきた場合が多いようですが、現在では自律神経系の過敏な反応により発作を起こすと考えられています。

ストレスや過労がたまるうちに交感神経が過敏となり、呼吸困難、めまい、動悸、発汗、しびれ、胸部不快感、吐き気、死への恐怖感、気が狂ってしまうのではという恐怖感などの発作がおこります。多くは、外出や乗り物などに乗ることをきっかけとして発作を起こすため、「また発作を起こすのでは」と、外出や乗り物に乗ることができなくなります。
予後をよくするためには、心臓や脳などの病気がないことを確認して、心療内科的訓練を受けた医師のもとで、より早く適切な治療を受けなければなりません。ある種の抗不安薬(アルプラゾラムなど)がかなり有効です。そのほか、充分なカウンセリングや自律訓練や行動療法などを併用すると効果的です。

適切な治療を受けないと症状が慢性化し、その後の治療に障害をきたすことになります。
この病気は「精神的な疲れですから、気を楽にしていれば大丈夫です」の一言で片付けられると厄介なことになります。

適切な治療を行うと3カ月から1年くらいで乗り物にも一人で乗れるようになります。なによりも、予防的に日頃からストレスの解消法を身に付け、過労にならないような生活リズムを作っておくことが大切です。

    

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