一生懸命足るを知る⑪ 80%の働き蜂

 

2003.5~2004.4

一生懸命足るを知る⑪  80%の働き蜂

ばんぶう

2004.3

日本医療企画


ある友人から面白い話を聞いた。出所はテレビ番組のなかで、ある学者が発表していたということである。内容の真偽を確かめずにここでご紹介するのは気が引けるが、何もここで学問的考察をするわけではないのでお許し願いたい。
 働き蜂の集団についての話である。100匹の働き蜂をよく観察してみると、80%の働き蜂はよく働くが、20%はサボっているというのである。「ううむ、今は昔になった昭和中期の日本人の猛烈会社人間を100人集めても、20%はサボるということか。そういえば私のスタッフのW女史は『選り抜いた東大生でも出来の悪い学生がある一定のパーセントいるんですね』と溜息ついていたなあ」と納得した。
 そして、その学者は80%のよく働く働き蜂を100匹集めて再度観察を行ったそうだ。素人的には、今度は90%ぐらい働くのだろうか、いや100%よく働くのだろうかと想像する。結果はなんとまた80%がよく働き、20%が怠けるというのである。「そういえば、大学生時代のコンパの飲み会では、どんなまじめな集団でも、数パーセントの人は酔いつぶれていたなあ」。そして、最初の集団で20%に入る怠け者の働き蜂を100匹集めて観察を行ったのである。気になっていることをきちんと探求するとは、さすが研究者である。その結果は、怠け者の集団でも80%はよく働く働き蜂になるのである。人間の世界では、さもありなんだが、蜂でもそうだとするとなんだか「自然の摂理」を感じる。
 この話を、我息子たちにして「では、どんな時も良く働く働き蜂は何%いて、どんな時も怠ける働き蜂は何%いるか?」と問いかけた。「0.8の無限乗も0.2の無限乗も0だから、0ということでしょう」「そのとおり。お前たちも、いつも勉強しろとは言わないから、いつも怠けていることだけにはならないようにね」。欲張りの親心としては、いつも勤勉でいてほしいが「一生懸命足るを知る」ことにした発言だった。

    

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