ギランバレー症候群

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   NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

   カルテ48 神経内科

   2013/4/22




※今回「Terra Letter」3号を皆様に配信しましたところ、鉄門同級生でこの「ギラン・バレー症候群」のガイドライン作成委員長でもある 楠 進 先生(近畿大学医学部神経内科教授)が、この記事に関して加筆訂正コメントをお寄せ下さいました。おかげで最先端の内容を網羅でき、校正も叶いました。2016年5月18日より、文章を差換えています。この場を借りて楠先生にはお礼申し上げます。鉄門仲間、ありがたい!!! 
 
 
○概 説○
消化器系や呼吸器系の感染症の1〜3週後に急激に発症する末梢(まっしょう)神経性(しんけいせい)運動障害をきたす病気です。専門的には脱髄(だつずい)型(*1)と軸索(じくさく)型(*2)という分類がありますが、運動障害が中心で感覚障害が軽微であることが特徴です。ウイルスを中心とした感染症がきっかけとなり、免疫(めんえき)機構が障害される事により自分自身の神経が破壊されていく自己免疫疾患の1つと考えられています。発病の頻度は10万人に1人程度で、50歳以上に多いものの幅広い年代で発症し、やや男性に多い(約3:2)という疫学(えきがく)的報告があります。
 
○症 状○
多くの場合、下肢(かし)の筋力低下や麻痺(まひ)が出現し、次第に上方に広がり上肢(じょうし)の麻痺や呼吸筋の麻痺まで進行する場合もあります。感覚障害は軽微な事が多いですが、痛みや痺れ(しびれ)感がみられることがあります。自律神経障害は生じやすく、頻脈(ひんみゃく)、徐脈(じょみゃく)や血圧異常、発汗異常などの自律神経失調症状もみられます。時に、目を動かす筋肉や顔面を動かす筋肉の麻痺、飲み込みにくさやしゃべりにくさ、上肢の筋肉麻痺症状から発症する場合もありますので、注意が必要です。
 
○診 断○
特徴的な臨床(りんしょう)症状と神経伝導検査などの電気生理学的検査により、ほぼ診断は確定されます。最近では血液中の抗ガングリオシド抗体測定も診断に使われます。髄液の細胞数が増えないにもかかわらず、タンパク量が増加する「髄(ずい)液(えき)蛋白(たんぱく)細胞(さいぼう)解離(かいり)」は有名な現象ですが、病気の初期には蛋白量が正常な場合が多いので、初期診断には注意が必要です。いずれも経験深い専門医は熟知していることですので、神経内科医の受診が必須です。

○治 療○
急性期を乗り切れば良好に回復することが多いので、初期治療が重要になります。おおよそ2割弱程度が呼吸筋の麻痺を伴うので、人工呼吸器装着や急性期合併感染症管理などを含めた集中治療室での治療が重要となります。病気そのものへの治療としては免疫グロブリンの点滴と血漿(けっしょう)交換などの血液浄化法が2大治療法となります。ステロイドは単独では効果がないことが示されていますが、ステロイドの大量療法と免疫グロブリンの点滴の併用については意見が分かれているところです。
 
○予後、注意点など○
多くの場合に、ほぼ完全な回復が期待できますが、麻痺が後遺症として残る場合もあります。治療初期から積極的な機能回復訓練(リハビリ)を行なっていくことが肝要です。
1 末梢神経を覆う絶縁体「髄(ずい)鞘(しょう)」が冒される
2 髄鞘の途切れ目から露出した神経の神経芯部分「軸索」が冒される
    

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