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吹っ切りのち復活② バーチャル欲望という名のバブル
2002.5~2003.4 吹っ切りのち復活② バーチャル欲望という名のバブル |
ばんぶう 2002.6 日本医療企画 |
「今回の不景気は長い」と私も思うし、マスコミでも世間でも同じように言われている。しかし、実際のところ48歳の私でさえ、今までの人生で本格的な不景気の体験はない。初めての不景気の体験であるから、比較的長いのか、景気の循環はこんなものなのか実は知らない。ただ、いわゆる例のバブル好景気というものを体験しているから、長すぎるのかどうかは別にして、少なくとも「始末の悪い不景気」に感じるのである。今年こそは景気の回復と言われ続けてすでに久しい。そのたびに「バブルの時はこの土地はいくらしたが…」とか「バブルの時はタクシー待ちは1時間が当たり前でしたよ」とか、もう一度来ないかなあ、という淡い期待を抱くような声が3,4年前はあちこちで、1,2年前でもちらほら聞こえたものである。
私見であるが、昨年あたりから「バブルの頃は…」といった表現がめっきり聞かれなくなったのではないだろうか。むしろ価格破壊が進み、「景気もまあまあこんなものが普通なのかなあ」という声さえ聞かれる。これこそが復活のサインではないかと、私は感じているのであるが。
バブル経済の起こった理由は一言で言えば「人間の欲望」だと私は思っている。ゴルフをしない人までもゴルフ会員権を買うから、利用する当てのない人が土地を買うから、アルコールを飲めない人がワインを買うから、常識はずれの金額まで競りあがるのである。ゴルフをやりたい人がそのプレイ欲求のため会員権を買うなら、おのずとその限度額が推定できるだろうし、土地を利用するつもりなら、やはり限度額が算定できる。
ワインでも然りである。ところが、想像の世界の欲望にはきりがないから、とんでもない現象が起きてしまったのである。まさに、「バーチャルという名の欲望には気をつけなさい」と、「欲望という名のバブル」が教えてくれたのである。