ブルーベリーの機能について

Dr.寺下の“スペシャルトーク”

ブルーベリーの機能につい

…ゲスト…堀井敬一氏

自然派健康倶楽部

2003年春号

「自然派健康倶楽部」編集室


…ゲスト…
堀井敬一氏

1953年 東京農工大学農学部農芸化学科卒業。

農林水産省農林物資企画調査会専門委員を歴任。

日本プラント協会コンサルタントとしてパプアニューギニア調査、全国清涼飲料工業会技術部幹事、ソフトドリンク技術資料編集委員幹事等を歴任。
現在日本ブルーベリー協会会長。


寺下
堀井先生は「日本ブルーベリー協会」の会長をされていますが、ブルーベリーというとイギリス空軍パイロットの話が有名ですね。
堀井
そうですね。ブルーベリーは一般的に目にいいといわれていますが、そもそも注目されるきっかけとなったのは第二次世界大戦中イギリス空軍に「撃墜王」と知られたパイロットがいたんです。彼は薄暗い上空でも敵機が鮮明に見え、迎え撃ちました。他のパイロットと違ったのは、彼はブルーベリーが大好物で食事のたぴにパンと同じくらい厚塗りしたブルーベリージャムを食べていたんです。その後彼の特殊な視力について研究が進められ、ブルーベリーの成分にその秘密があったことが判明したわけです。
寺下
具体的には、ブルーベリーのどういった成分が目の健康に効果的なんでしょうか。
堀井
ブルーベリーの美しい青色は「アントシアニン」という色素で構成されています。このアントシアニンが視覚に関係するはたらきをします。目はものを見る際、見たものを電気信号に変換し、脳に送り、知覚するというサイクルを持っています。この電気信号への変換の際関与するのが網膜内にあるたんばく質「ロドプシン」です。ロドプシンは目に入った光で分解されるので目を酷使すると再合成が追いつかず弊害が生じます。アントシアニンにはそのロドプシンの再合成を促進し、活性化するはたらきがあります。この再合成が活発になることで、視覚の機能がよくはたらき、夜間の視力もよくなり、視野が広がるという効果があらわれます。
 また私たちの目にはピントを合わせるはたらきの水晶体があり、アントシアニンはその水晶体の厚みを調節する筋肉「毛様体筋」内の血流をよくするはたらきもあります。血流をよくすることで目の疲れも緩和されるわけです。これが目にいいとされるゆえんです。
寺下
速効性もあるとお聞きしましたが。
堀井
そうです。アントシアニンを摂取すると4時間後くらいから体感できるほどの効果がではじめ、24時間ほどその効果が持続します。ブルーベリーが根強い人気を持ち続けているのは、消費者の方が現にその効果を体感なさっているからではないでしょうか。特に情報化社会で多くの方がパソコンを使用して目を酷使され眼精疲労に悩まされております。時代が目によいものを求めていると感じております。
寺下
アントシアニンは海外ではすでに医薬品として用いられているとうかがいましたが。
堀井
1960年頃から臨床試験が繰り返され、イタリアで初めて25年前に医薬品としての製造承認がなされました。その後ニュージーランド、スペインなどで用いられています。アントシアニンは目への有効性だけでなく様々な機能が確認されています。毛細血管を広げ、かつ強化して血流をよくし、血小板凝固を抑制することで血をサラサラにする、コラーゲン基質を強化する、さらに関節の炎症の治療にも有効であること等が研究で明らかにされています。こうした人体への総合的な効果が医薬品として用いられている理由でないかと思います。
寺下
ところで、生のブルーベリーは依然、消費者の間で高価なものという認識があると思うのですが。
堀井
そうですね。国内生産は年間1千トンで、加工用原料としては主に輸入に頼っているのが現状です。みかんの国内生産180万トンと比べても、きわめて少量です。これには果実を摘むのに手間がかかること、いたみやすいこと等の原因があります。しかし、その機能の高さを、ひとりでも多くの方に知っていただきたいと考えています。
寺下
素晴らしいですね。ブルーベリーの成分のそのような機能をより多くの方が知って一般家庭に普及すると、日本人の平均寿命もますます長くなるのではないでしょうか。
堀井
そのとおりです。健康のバロメーターとしての目への効果、それ以外の優れた数々の機能性は、過酷な現代社会に生きる私どもの健康維持に大いに役立つものであると確信しております。
    

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