基本を守ることが体脂肪を減らすベストな方法

Dr.寺下の“スペシャルトーク”

基本を守ることが

体脂肪を減らすベストな方法

…ゲスト…野坂和則氏

自然派健康倶楽部

2004年春号

「自然派健康倶楽部」編集室


…ゲスト…
野坂和則氏

横浜市立大学大学院総合理学研究科運動・スポーツ科学教室助教授医学博士

1981年東京学芸大学教育学部卒業。
1983年東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了(教育学修士)
1995年博士(医学)横浜市立大学より。
1989年~1991年マサチューセゾソ州立大学運動科学部研究員。br /> 所属学会:日本体力医学会評議員、日本運動生理学会評議員。


バランスの取れた食事と適度な運動という基本を守ることが体脂肪を減らすベストな方法

「太っている」「痩せている」の指針として重要なのは体重よりも体脂肪率。摂りすぎた栄養は体脂肪として体内に蓄積されます。体脂肪が増えすぎない生活を心がけましょう。

日常の細切れの運動でも脂肪燃焼に効果はある
寺下
野坂先生の専門は運動生理学、特に筋肉、肥満の予防、減量ということで、まずは人間が太っていく、すなわち体脂肪が増えていくメカニズムを教えてください。
野坂
健康な人間が太るメカニズムは結局、摂取と消費のバランスです。摂取より消費が少なければ、余分は全て「貯金」として身体にたまっていきますが、その貯金のほとんどは脂肪です。仮に1日当りの摂取エネルギー量が消費エネルギー量よりも100キロカロリー多い場合、体脂肪1g当り約7キロカロリーなので1日につき約14gの脂肪がたまる計算になります。それ自体はたいした量ではなくても、同じ生活を続けていると、1か月で約400g、1年で約5㎏の体脂肪が増えることになります。逆に、摂取エネルギー量よりも消費エネルギー量を1日当り100キロカロリー多くすれば、理論的には1年間で5㎏くらいの体脂肪を減らすことができるわけです。
寺下
それには摂取を減らすか、消費を増やすか、ですね。
野坂
消費でいいますと、人間が1㎞歩くためには、体重1㎏当り約0.7キロカロリー使われます。50㎏の人が1㎞歩くと35キロカロリー、約3㎞歩けば100キロカロリーのエネルギー消費があると考えられます。3㎞を歩数に換算するとおよそ5000歩ですから、そのくらい1日当りトータルの運動量を増やせばいいんです。たとえば、近場ならば歩いていく、エレベーターやエスカレーターを使わない、リモコンを使わずに立ち上がって操作するなどこまめに動く…いろんなことを「非効率的に」やるとエネルギー消費は増えます。
寺下
よく20分~30分間、連続して運動しないと脂肪は燃焼しないといわれていますが。
野坂
それは誤解ですね。われわれは安静にしている時でもエネルギーの約半分は脂肪、もう半分は糖質から得ています。常に脂肪は使っているんです。トータルとしてエネルギー消費量が高ければ、運動後に脂肪が使われたり、食べた分がたまりにくくなったりするので、結果的には同じなんです。
寺下
これは朗報ですね。ジョギング中は信号待ちでも足踏みしていなければいけないと思っていた方も多いでしょうし、30分間続けて運動する時間がないと、ダイエットにならないからと運動しなくなってしまう方もいるでしょう。
野坂
体力作りには持続した運動も必要ですが、単に脂肪を燃焼させるだけならば、1分とか細切れでも、トータルとして運動量を多くしていけばいいんです。
バランスのよい食事で基礎代謝を落さない
寺下
エネルギー摂取の面から体脂肪を減らすポイントはありますか。
野坂
まず基本ですが、糖質とたんばく質は1g=4キロカロリーのエネルギー量なのに比べ、脂肪は1g=9キロカロリーです。脂肪がたくさん含まれた食品はカロリーが高いので控えたほうがいいといわれるのはそのためです。ただ、食べる量が少なすぎると筋肉が落ち、基礎代謝が落ちる可能性も高い。すると、安静時の代謝も下がって、たとえ体重は減っても太りやすい体質になってしまう。
寺下
つまりは、偏ったダイエットはせず、脂肪をおさえた食事を楽しみつつ適度な運動をするのがベストということですね。それをサポートするものとして、さまざまなサプリメントや健康食品があるわけですが、糖尿病の患者さんはよくギムネマ茶は糖分を下げるといって飲んでいますね。ギムネマくらい歴史的に長く使われているものには、経験的根拠はあると考えてもいいでしょう。
野坂
糖質や脂肪の分解を促進したり、腸管で吸収を抑制する成分があれば、理論的には脂肪の蓄積を防ぐことになる可能性はあると思います。私もアカショウマの脂肪吸収抑制・分解の効能について今度データを取ってみようと考えているんですよ。また、体重1㎏当り1g程度のたんばく質の摂取は必要ですが、この量を食事で摂ろうとすると、一緒に脂肪も摂ってしまいがちになるので、たんばく質だけを摂取したい場合には、サプリメントを併用する例もありますよね。
寺下
食事と運動を基本にバランスがとれたダイエットを補助する意味でサプリメントは研究の価値が多いにありますね。
    

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