「ドクターミシュラン」は可能か

カルテの余白

カルテの余白 ⑪

「ドクターミシュラン」は可能か

土曜 朝刊 (P.23医療)

2003.4

朝日新聞 掲載


「名医ガイド」「病院ランキング」、医師や病院をランク付けして紹介する本があふれている。医療の世界にも評価制度が導入されれば品質も向上するはずなので歓迎したいが、「これは実際に役立つ」と納得できるものは、なかなか見つからない。
患者さんの医療判断を支援する私たちの活動に、信頼できる医師仲間を増やすことは不可欠だ。患者さんに紹介したり、一緒に診療したりするときに「自分が病気になったらこの人に診て欲しい」という医師なら安心できる。
仲間を増やすのに、知識、技術、そして人間性の三つを重視している。しかし、学閥のほかに、卒業年代、病院系列、医師会、医局などの閥がある。
情報の聞き先によって医師の評価は違ってくる。患者さんにも尋ねるが、「人間性重視」に偏りがちだ。
客観的な評価を求めていつも悩んでいる患者さんの医者選びは至難の業だろう。
私が頼りにしているのは、それぞれの医師の同級生からの情報だ。「物事や人に接する心構え」を聞く。学生時代に人のために尽くす人は社会に出ても変らないだろうと思うからだ。しかも学生時代の評価は利害が絡まないのでより信頼性が高い。同僚の医師や看護婦、患者さんらの情報も加える。そして必ず自分の目で確かめる。
 この20年で千人以上の医師に接触し数百人を自分のリストに載せた。信頼の絆(きずな)で結ばれてこそ、「あいつから紹介された患者さんだ。しっかり診て、きちんと返答しよう」となる。
 我々、医療判断医は患者さんの症状から、最初の見立てを確実に行い、適切な専門医にお願いする。
医師同士の緊張感のある信頼関係が広まれば、医療の品質がきっと向上するだろう。

    

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