患者側が最善の医療を選ぶには「医療判断」が必要です

表紙

患者側が最善の医療を選ぶには
「医療判断」が必要です

クロワッサン2003年5月号

2003.5.1

株式会社マガジンハウス


患者側が最善の医療を選ぶには「医療判断」が必要です

寺下謙三さんの肩書の一つに「医療判断医」とある。

耳新しい言葉だが、「文字どおり、医療の内容を客観的に判断する医者です。この症状なら外科がいいのか、内科がいいのか。西洋医学がいいのか、東洋医学でいくべきか。手術すべきか、薬で治療したほうがいいのか。科学的根拠にもとづいた判断が60%、心理学的情況が20%、社会学的背景が20%‥‥、患者さんが最善の医療を選べるよう支援することが役目です」
13年前から、主治医ならぬ 「主侍医(プライベートドクター)」制度を提唱し、実践してきた寺下さんならではの考え方だ。慶応大学医学部でも「医療判断学」というテーマで講義をもって、7年になる。
「40代、余命1年のがん患者の場合‥‥というように、学生に仮想体験をしてもらうと、同じ6年間、医学を学んだ学生たちでも、それは見事に違う判断をします。もし、医者の立場でなく、家族なら、患者なら‥‥と聞いていくと、その判断はさらに変わってくる。
判断の不確実さと厳しさとは、常に医療につきまとってくるものなのです」
だからこそ、「医療判断学」という学問を確立させ、ひいては医師以外でもなれる「医療決断支援師」を作りたい、とも考えている。
「そして、医療判断と対ついで考えてほしいのが、患者さん側の『医療決断』です。とくに、命を左右する重大な病気の場合、大きな運命の分かれ目になることを知ってほしいのです」
国立病院でも、セカンドオピニオン外来ができるなど、新たな動きも出てきているが、「まだまだ制度がととのっているとは言えません。制度を緩和して、セカンドオピニオンは自由診療で、どこの病院でも受けられるようにすべきだと思います」

    

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