だるいにサヨナラ

サンキュ!

暑さに負けない夏のからだ健康対策

だるいにサヨナラ

サンキュ!

1996.8

株式会社ベネッセコーポレーション発行


夏、病気ってわけじゃなくてもなんとなく調子悪いのはなぜ? 
熱帯夜続きでよく眠れないときの対策は? 
ファスト工イドはどうしたらいい?
夏を元気に過ごすための健康法を紹介します。これで今年は夏バテ知らず!


どうして夏バテになるの?

今年の夏こそ、バテたくない!でも、どうして夏バテになっちゃうんでしょう。
「夏の暑さ、それ自体が人間にとってストレスになるのです。ストレスを受けると内臓の血流が悪くなって胃腸障害につながります。食欲も落ち、栄養障害に陥りやすくなります。」
「バテというのは、体内の水分の代謝異常が原因で起こっていることもあります。必要以上の水が体にたまり、血液中のナトリウムやカリウム、カルシウムなどのバランスが悪くなってしまう。冷たい物を飲み過ぎたり、外が暑くて室内がよく冷えている、という温度差がさらに体に悪影響を与えているのです。」
要するに、暑さが体調を崩させて、食欲が落ちる、すると栄養が足りなくなってもっと調子が悪くなり、さらに食欲が落ちる。それでいて冷房の効いた部屋で冷たい物ばっかり飲んでいるのでバテてしまう、というわけ。
「快食、快眠、快便。元気なときにはこの三拍子がそろっているもの。食欲、睡眠、排泄は自分が健康であるかどうかの目安です。自分でチェックして対策を立てましょう。」

夏に不足しがちな栄養素

夏にはなんといってもビタミンがとても大切なのです。
例えばそうめんばっかりの食事では、エネルギー源は取れていても、ビタミンB群が足りないからエネルギーとして使えない。ビタミンB1は豚肉などに多く含まれています。
さらに「体の免疫力を高めるビタミンAが豊富な緑黄色野菜は、ことに夏場には積極的に取ってほしいものです」。
ストレスヘの抵抗力を高めるビタミンCや、汗で出て足りなくなりがちなカルシウムや鉄も大切。特に鉄は足りなくなると疲れやすくなるし、胃液の分泌も低下してしまいます。
だからスタミナをつけようと、ステーキだけドーンと食べても夏バテ解消はできません。
「夏に出回りやすい野菜の中でも、おなかの調子を整えるオクラ、利尿作用を持つきゅうり、ビタミンAの豊富なピーマンやかぼちゃ、胃液の分泌を促進するトマトなどをぜひ取ってください」。

料理にひと工夫しておいしく食べる

夏の料理は食欲がわく工夫と、食べやすさが決め手。
まずは香辛料に注目です。
カレー味は夏の定番だけれど、七味唐辛子やチリペッパーも、辛い刺激が胃酸の分泌を盛んにしてくれます。
最近ではスーパーでも簡単に手に入るバジルやペパーミントのさわやかな香りは、さっぱりとした食感を演出してくれます。まろやかで風味のいいパプリカもお勧めだし、パセリも、彩りだけではなくて刻んでいろいろな料理に混ぜ込みたいものです。

もっと身近なにんにくは、香りが食欲をそそるし、ビタミンB1の吸収を良くしてくれる成分を含んでいる優れもの。どんどん使いましょう。
そして食べやすさ。
例えば冷たく冷やした野菜スープや、豆腐料理、あんかけ風なら食べやすい。

同じスルっとでもそうめんにするなら、蒸し鶏や錦糸卵、きゅうりのせん切りなどを添えて五目風にすれば、栄養のバランスも良くなります。とにかくそうめんだけお茶漬けだけといった主食だけの食べ方は見直しましょう。たまには汗をかきながら鍋もの、なんていうのも、目先が変わっていいものです。

食欲を出すためのアイデア

それほど食べていないのに、おなかが膨れた感じで食欲がわかないとき、胃腸薬を飲めば食欲もわくのでしょうか。

「胃腸薬には胃酸を出させるタイプと逆に胃酸を抑えるタイプがあります。夏には胃酸を出させるタイプ、要するに消化剤系統を選びましょう。」

ビタミン剤の上手な取り入れ方

ビタミンに限らず、近ごろではさまざまな栄養素を添加したお菓子や清涼飲料がたくさんあります。けれどこうしたお菓子類を、ビタミンや鉄が大切だからってどんどん食べてしまうと、糖分の取り過ぎにもなりかねません。栄養のバランスはまず食事から。

そしてあくまでも補助的に、ビタミン剤や鉄剤、食物繊維などの錠剤とつき合うのが賢いのです。
気軽につき合えるのはビタミンB群とC。水溶性ビタミンといって、たくさん取り過ぎてしまっても排泄されるので、安心です。

ビタミンB1やB2は夏バテ解消に効果がありますし、アルコールをたくさん飲む人にはビタミンB1は特にお勧めです。

タバコを吸う人はビタミンCを積極的に取りましょう。タバコ1本でなんと25㎎のビタミンCが使われてしまうのです。

シミ、そばかすなどの紫外線によるお肌のトラブルを防ぐのにも役立ちます。
ビタミンAやEは脂溶性ビタミンといって、使われない分は体内に残るので、あまり大量に取ってしまうと問題あり。とはいえ普通の食事プラス使用法を守ってビタミン剤を飲むなら心配ありません。

ビタミンAは、皮膚の潤いを保つ効果もあります。

ビタミンEは老化を防ぐ役割が注目されています。


夏なのにどうして風をひくの?

のどが痛くてちょっと熱が出て、ぐずぐず長引く夏のカゼ。
カゼといえば冬のはずなのに、夏にひく私は体が弱いの?なんて思っている方もいるのでは。

でも夏には夏のカゼがあるんです。
「カゼというのはウイルスが原因で起こり、さまざまな症状が出現します。夏カゼの原因となるのはピコルナウイルス群のウイルス。
症状としては咽頭炎や胃腸炎が特徴的です。ただし良性なので症状は軽く、1週間くらいでほぼ治ると思います。」
ウイルスはふつう湿気に弱いので、乾燥した冬に暴れまわるもの。

ところがピコルナウイルス群のコクサッキーとかエコーというウイルスは湿気に強いので、春から夏にカゼを起こすのです。子どものプール熱や手足口病の原因も同じウイルス。
症状が軽いとはいっても、「カゼをひくのは体の免疫機能が低下しているから。また、細菌感染の合併症も起こしやすくなっていると言えます。」

夏バテの体にはキツイ状態になってしまうわけなのです。

予防と対策は?

「カゼの予防の基本は手洗いとうがい。またお子さんならプールの後には必ずシャワーを浴びることも大切です。」
とにかくウイルスが体の中に入ってこないようにするには手洗いとうがい。

うがいは水やうがい薬でもいいけれど、お茶や紅茶も効果的。ウイルスの増殖を防ぐ働きがあるのです。
それでもひいてしまったら?
「細菌の感染だったら抗生物質が効きますが、ウイルスに感染してしまうと根本的に治す方法はないのです。

そこで、のどの痛みを抑えるなどの対症療法をするしかないんです。」
だからこそ、カゼをひかないために、またひいてしまっても症状を軽くするためにふだんから体の免疫機能を高めておくことが大切です。

夏バテを解消して、睡眠と食事に気を配ることが予防につながるのです。

暑いところでフラッとしたら熱疲労

炎天下を長い時間歩いたり、スポーツをしていてふらつきを感じたら、無理して続けちゃデメ。熱疲労なんです。
「熱疲労とは熱射病の前段階です。意識を失うほどの重症になったら熱射病ですから、そうなる前に、すぐに手当てが必要です。」
調子悪いな、と思ったらすぐに日陰に入って、風に当たり、体を冷まさなければ!
「脳貧血を起こしますから、頭を下げて、できれば横になって足を少し上げているといいでしょう。」
充分休んで回復してから動くようにしましょう。
脱水症状を起こしていることもありますから、水分補給も忘れずに。
万一症状がひどく、熱射病になってしまったら、とにかく冷やしてあげることと、救急車を呼ぶことが必要です。

足がつったときには水分補給

熱疲労と同じように、夏に増えるのが足がつるという現象です。

「たくさん汗が出て、体内の電解質が排出されてしまうことが原因です。」
もちろんそういうときにも水分補給。スポーツドリンクなどを、それも冷やしていないものを飲むと吸収しやすく、ミネラル、水分の補給になります。

体がほてって、痛い 日焼けのし過ぎ

日焼けしたところがほてる、痛い。そんなひどい日焼けは放っておけません。「日焼けで水ぶくれなどになってしまったらもうやけど。そこまでにならなくても日焼けは軽度のやけどと考えていいのです。焼けた部分が細菌に感染しないようにする必要があります。」
そこで焼けたところを、きれいな水で洗い流して冷やします。水ぶくれには消毒液をつけておきましょう。

日焼け止めクリームで予防

「水着姿などで、体の広範囲が焼け過ぎてしまったときには、病院で受診した方がいいでしょう。皮膚の機能障害を起こし、結果的に急性腎不全を起こす恐れがあるからです。」
皮膚の大切な働きのひとつは汗を排泄すること。それがうまくできなくなると、排泄されなければならない水分などが腎臓にたまってしまい、大変なことになってしまうのです。
だから、そんなことにならないためにも予防が大切。

しかも日焼けは、長い目で見ると皮膚ガンの原因となることもあります。外出するとき、レジャーに出るときは日焼け止めクリームを必ず使いましょう。

おなかが痛い、下痢になった 食中毒

カゼでもなさそうなのに下痢をした、吐いてしまったというときは食べた物をよく考えてみて。食中毒を起こしているかもしれません。
「食中毒がもっとも起こりやすいのが、夏場。高温多湿の環境で、細菌がはびこりやすいのです。食中毒の原因となるのは、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌がほとんどですが、食品の見かけやにおい、味に変わりがなくても、これらの菌が増殖していると、中毒を起こすのです。」
症状が軽い場合は、ゆっくり休むこと。下痢をしたときには、水分を補うことも大切。何度も吐くような重症のときはもちろん病院へ。

食中毒を防ぐには

食中毒を防ぐには、食生活に気を配ること。夏場は生ものを避けるようにし、調理をした後はなるべく早く食べましょう。

キッチンを清潔にし、ふきんやまな板の殺菌、冷蔵庫の掃除をこまめにするのは常識です。自分自身も清潔に。キッチンに立つときにはまず手洗い。肉や魚を扱うときは、そのたびにせっけんで手を洗う習慣をつけましょう。


冷房対策

肩凝りや腰痛なども冷えによる悪影響のひとつです。

  • お風呂にゆっくり入る
  • エアコンと上手に付き合う
  • 子どものことも考えて温度調節に注意
エアコンのフィルターの汚れに注意

冷房の体への影響で、冷房病と並んで心配なのがカビの害。
「夏、例えば就寝時など体が温まったときにせき込むことがよくあるという場合は、過敏性肺炎の一種である“空調病”になっている可能性があります。これはエアコンのフィルターに付着したカビが原因のアレルギー性の肺炎です。」
フィルターやもっと奥の部分にカビがついたままでエアコンを使うと、部屋中にカビをまき散らすことになるのです。
予防のためには久しぶりにエアコンを使うときはもちろん、ふだんからフィルターの掃除をこまめに。

どうも臭いがするなどというときには、専門の業者や掃除サービス会社などに依頼して、カビ退治。

せきが続くなどの症状が出てしまったときは早めに病院へ行って、専門医に相談しましょう。

放っておくのはタブーです。

クーラーをつけるたびにカビが部屋中にまき散らされてるかと思うと、ゾッとします!ご用心を。

    

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