現代『病気』事典内科

Health Report

現代『病気』事典内科

MEN'S NON-NO

2002.11

集英社 発行


皆さんは人間ドックに入ったことがありますか?

病気なんて関係ない!と思っていたけど、近ごろまわりでぽつぽつと病気の話を聞くとふと気になる。体調が今ひとつだと、もしかして自分も?・‥‥心配だ。そこで、ぽくらの世代に増えている病気の基礎知識を幅広くおさえた。
病気になりにくい生活のアドバイスもチェック

menu

  • 過敏性腸症候群
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 膵 炎 すいえん
  • 肝 炎 かんえん
  • 脂肪肝 しぼうかん
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 群発頭痛
  • 糖尿病
  • マイコプラズマ肺炎
  • ロングフライト血栓症

内科

過敏性腸症候群……下痢と便秘を繰り返す

電車の中で突然、きゅるきゅると下腹部が痛み、がまんを重ねて頭の中は真っ白。脂汗まで出てきて、ついには途中下車してトイレに駆け込む…‥・こんな経験はないだろうか1度くらいなら調子が悪かったってことだけど、しょっちゅう起こるようなら過敏性腸症候群かもしれない。

この病気、腸自体が悪いわけではなく、ストレスやプレッシャーに腸が敏感になり、腹痛や下痢、便秘を起こしたり、下痢と便秘を交互に繰り返したりしてしまうのだ。

全体としては女子にやや多い病気だが、実は男にも増えている。男の場合は下痢型が多く、あらかじめトイレの場所を確認して地図に書き込んでおかないと、下痢が心配で街にも出られない、なんてこともあるとか。まずは医者に相談して整腸剤などの薬をもらおう。ふだんから自分なりのストレス解消法を心がけることも大切だ。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍……空腹の時胃が痛い

飲み会が続いたりすると胃腸の調子が悪くなることがある。おなかの上のほう、胃のあたりが痛い場合は胃炎の可能性がある。

健康な胃の中は、胃酸など粘膜を攻撃する因子と粘液など粘膜を守る因子のバランスがとれている。そこに暴飲暴食や強いアルコール、大量のカフェイン、タバコなどが入ってくると、バランスがくずれてしまい胃の粘膜に炎症が起き、胃炎になってしまうのだ。

軽い胃炎なら自然に治ることも多い。けれど、長引いたり繰り返されたりすると胃や十二指腸に潰瘍ができてしまう。朝起きたときやおなかが空いたとき胃の上のほうが刺しこむように痛い、そこを指で押さえるとかなり痛い、胸焼けやげっぷなどが胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状だ。

幸い今ではいい薬があるから胃潰瘍でも手術になることは少ない。ただし、じっくり治療し、生活改善しないと、また、なんてことにもなりかねない。

膵炎(すいえん)……へその周りから背中に、激痛が

急におなかが痛んだ、それもはんばじゃなくて全身に冷や汗をかくほどの強い痛み‥‥こういう「急性腹症」には食中毒や胃潰瘍のひどいとき、尿管結石などなどいろいろな原因がありえる。もしその痛みがへそのわきに走り、背中にかけて痛かったのなら急性膵炎の可能性が高い。

脾臓は胃の裏側にある、いくつもの消化酵素を出す器官だ。ここに負担がかかると消化酵素が出すぎてしまい、膵臓自身を溶かしはじめる。これが急性膵炎だ。原因はいろいろあるが、男に圧倒的に多いのはアルコール性膵炎。酒が膵臓を痛めつけた結果というわけ。

しょっちゅうある病気というわけではないが、「酒には自信があり」という人間ほど要注意。おへそから背中へという強い痛みがあったらすぐに病院へ行こう。場合によっては入院となることもある、我慢のしすぎは禁物だ。

肝炎(かんえん)……食欲が無く体がだるい

食欲がない、体がだるい、熱っぽい、こんなかぜのような症状が1週間ほど続いたら、ウイルス性肝炎だったということがある。

ウイルス性肝炎にはいろいろな型があるが、若い年齢に比較的多いのはA型肝炎とB型肝炎だ。どちらも最初に発熱やだるさ、食欲不振などのかぜのような症状が出て、やがて黄疸(おうだん)が出ることもある。病院で肝炎だとわかれば、薬の治療と食事指導を受ける。A型は慢性化することはないし、B型もおとなになってから感染した場合は慢性化することはまずない。ただし最初から重症という場合は治療が長引くことがある。

覚えておきたいのは、A型肝炎は食べものやキスで、B型肝炎の場合はキスやセックスでうつることもあるということだ。だから病気をまき散らさないためにも、おかしいと思ったら病院へ行って、検査を受けることが大切だ。

脂肪肝(しぼうかん)……体がだるいアルコール好き

脂肪肝とはその名のとおり、肝臓に中性脂肪がいっぱいたまった状態だ。
肝臓は辛抱強い臓器で、少々トラブルがあっても症状が出ることは少ない。
脂肪肝でもほとんど自覚症状はなく、あってもせいぜい体がだるいというくらい。ところが肝臓には脂がぎっしり詰まって働きが落ちているのだ。

最も多い原因はお酒の飲みすぎ。そして脂肪肝になっているのにお洒を飲み続けているとアルコール性肝炎や肝線維症、肝硬変になる。アルコール性肝炎や肝硬変は命にもかかわる重大な病気だ。だからとにかく酒好きの人間は定期的に検査を受けるしかない。そして脂肪肝とわかったら食事療法と運動療法。当然禁酒。それがイヤなら脂肪肝にならないように、酒とは適度に、上手につき合う。これが一番なのだ。

睡眠時無呼吸症候群……いびきが途絶えると人に言われる

彼女や家族から、「突然いぴきが止まるときがあるよ」と言われたり、夜中に「呼吸してないみたい」と揺り起こされたことがあったら、この病気の可能性が。

「睡眠時に10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上」が定義なので、1回や2回いぴきが止まったからといって即、病気というわけではないが注意が必要だ。

この病気になりやすいのは、首が短かったり太っている人。それが疲れていたり、アルコールを飲んだりでぐっすり眠っていると、舌やのどのまわりが内側に落ち込んで気道をふさぎ無呼吸となる。そのまま命にかかわることはないが、睡眠の質が悪くなるために、昼間もボーッとしたり居眠りしがちになって、これが事故につながったりもする。思い当たるときは一度、呼吸器内科か耳鼻咽喉科で相談してみよう。

群発頭痛……目の周りの痛みが繰り返し続く

どちらか片方の目の周りや目の奥がすごく痛い、それが毎日決まった時間に起こり、数週間も続くというのは群発頭痛かもしれない。

これは片頭痛と同じ種類の頭痛で、何かの病気の症状として出ているわけではなく、痛みがおさまれば何の問題もない。とはいえ、とにかく痛みがつらい。片頭痛の場合は女の子に多く、チョコレートやチーズを食べた、赤ワインを飲んだ、光刺激があったなどが痛みを引き起こすきっかけになるので、これらを避けることで予防も可能。いっぽう群発頭痛の場合はきっかけにアルコールは関係するようだがそれ以外はいまひとつわからない。

痛みとともに鼻詰まりや鼻水、涙が出ることもあってやっかいだ。予防薬や痛みを止める薬を病院で出してもらおう。

糖尿病……やたらと水分をとるトイレが近い

中年の病気と思いがちだが、最近ではぼくらの世代に増えている。

何らかの状況でインスリンの働きが悪くなり、血液中のブドウ糖の量が多くなる病気なのだが、こわいのは長年放っておくと網膜症になって失明したり、腎不全になったり、動脈硬化が進んで心筋梗塞になったりすることがあるからだ。

遺伝的な要因に暴飲暴食、肥満、運動不足、ストレスなどの要因が加わると発病するのだが、若い年齢に増えているのは食生活のせい。ドカ食いしたり、アルコールやファーストフードをがんがんとると、遺伝的な体質がある人はこれがひきがねになってしまう。問題はカロリーとそれを取り入れるスピード。アルコールを飲まなくても、コーラやジュースをがんがん飲めば同じだ。

やたら口が渇いて水物を飲む、トイレが近い、だるい、太ったというときは要注意。逆に、急に体重が減ったというのも糖尿が進んでいるサイン。必ず病院へ行こう。

マイコプラズマ肺炎……せきが長く続いている

マイコプラズマというのはウイルスに似た病原体のこと。かぜのもとにもなるのだが、肺炎も実は多い。とくに子どもや若い世代の肺炎で1番多いのはマイコプラズマ肺炎だ。昔は4年ごとに流行するという特徴があったのが、今では毎年、秋から冬にかけてよく起こっている。

症状は発熱、頭痛、だるさ、食欲不振、せきなどだが、特徴的なのはせき。夜や早朝、かなり強いせきが、ガンコに長い間続く。しかし熱やせきがあっても意外と元気でいられる病気なので、かぜだと思ってたかをくくっていたら実は肺炎にかかっていたということもある。

肺炎とはいえ、マイコプラズマは軽い場合は自然に治ることもあるし、またよく効く薬があるのでさほど心配はいらない。これからの時期、つらいせきが長く続くようなら受診しよう。

ロングフライト血栓症……海外旅行で要注意

耳慣れない病名と思うけれど、実はすでにおなじみの病気だ。「そう。これまではエコノミークラス症候群と呼ばれてきましたが、今後はロングフライト血栓症という病名に統一されることになったのです」。飛行機などで長時間足を動かさないと、足の静脈の流れが悪くなり小さな血のかたまり、血栓ができることがある。この血栓が血管の中を流れ、肺にまで入ってしまう病気がこれ。「これまでの病名ではエコノミークラスだけに起きそうな印象を与えてしまうので名前を変えようということに」。ビジネスクラスでも、また飛行機以外でも長時間足を動かさない状態が続くと起こる。

長旅のときは、しょっちゅう足を動かすようにし、また血が固まらないよう十分水分をとることが予防法。ただし、アルコールは脱水を起こすことがあるのでむしろ控えめにしよう。

    

関連エントリー

Copyright ©2013-2020 Terashita Medical Office Allrights All rights reserved.