セルフコントロールで生活習慣病に打ち克つ!!

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自覚次第で妨げる生活習慣病
セルフメディケーションで賢く対応する

セルフコントロールで生活習慣病に打ち克つ!!

医療と健康

2006.10.1

水元健康科学研究所 発行


高齢化の波が押し寄せている日本。ライフスタイルの変化も相乗し、生活習慣病を患う人口が急増しています。

毎日の生活習慣病の積み重ねで生じることから命名された生活習慣病ですが、何より、自信の健康管理で大半が防げます。

生活習慣病は、正しく理解して、その予防や改善に自らで積極的にとりくむことが何より大切です。

一次予防でいざというときの備えをしよう

怪我や感染症による急性期の医療と対照的に、慢性型の疾患は本人の誤った習慣や偏った習慣によって引き起こされることも多いもの。自らの健康を管理するセルフメデイケーションの考え方は、医療や病気とのつき合い方を一人一人カさ考え直すきっかけにもつながります。

 

「主侍医」としてかかりつけ医療の重要性に目を向け、自らそれを実践する寺下医学事務所の寺下謙三先生に、生活習慣病とセルフメデイケーションについてうかがいました。


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一次予防の意識をもっと高めていきたいですね。
寺下
もちろん、二次予防が中心となっているがんであっても、一次予防は大事なのです。喫煙をやめる、食習慣を改善する、といった部分で大きな予防ができるわけですが、「ユンケル症候群」と私は呼んでいますが、人間は目の前に効果がみえないと動かないところがありますね。先を見据えた予防などは、どうしても後回しになりがちです。それで病気になって困ってから、あわてて何百万円も払って治療することになるのです。
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このところセルフメディケーションという意識が一般に高くなっていますが、これをどうお感じになりますか。
寺下
いま生活習慣病に対して一部病院で包括医療制度という新たな医療制度が始まりました。従来の出来高払い制から、患者の病気や病状をもとにした処置内容に応じて定額計算が組まれるように変わりました。今後、クスリと同じように、患者への指導や教育がひとつの価値として認められるようになれば、健康の啓発もふくめたセルフメディケーションの広がりにつながっていくのではないでしょうか。
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たとえばタバコの指導ひとつでも専門ドクターからあれば予防のメッセージになります。
寺下
友達からタバコをやめろといわれるのと、ドクターからいわれるのでは確かに受け取り方も違います。もっともドクター自身は、それほど意識してはいないかもしれません。こういう健康アドバイスというのは、目に見えない予防の部分ですから、重要である割には患者さんもあまりその価値を評価しないのです。それから、アドバイスの方法論では、あれはいけない、これもいけないと禁止事項ばかりが先に立ちがちですが、逆に奨励するものを同じように伝えていった方が効果があると思います。油ものをとる場合には、いっしょに食物繊維も取ったほうがいいとか、おいしいものを取る場合にはお酒は控えるとか。そういう方法論も大切ではないでしょうか。
がん

それぞれ役割をはたす60兆の細胞社会に突如として出現する「ならずもの」

ヒトのからだは60兆個もの細胞が、何百もの異なる組織にわかれて活動しています。ある細胞は皮膚に、ある細胞は肝臓に、さらにある細胞は胃や腸にと、それぞれが役割を果すために変化しながら、一生懸命はたらく、一種の「集合社会」といえるものでしょう。

こうした秩序が保たれた細胞社会を、一転混乱に落しいれるものが「がん」です。しかし、がんの細胞はもともと正常な細胞でした。それが反乱をおこしてがん細胞に変化します。細胞の遺伝子に何らかの原因で傷がつき、本来の設計図を失ったがん細胞は、無限に増殖を続けていくようになります。分裂をストップさせる命令も、自ら消滅する命令も、いっさい無視してただひたすらに分裂を重ね増殖をつづけていく細胞となるのです。

こうして増殖をつづけるがん細胞は、やがてテリトリーも関係なく、他の組織にへも侵略の手をのばしていきます。それぞれ自分の役割を果たすべくはたらく正常な細胞は、がん細胞の増殖や浸潤によって栄養を吸い取られ機能しなくなっていくのです。

  • がんに関する環境原因
    • 食事
    • 喫煙
    • ウィルス感染
    • 職業、生活条件
    • 自然環境
    • 環境汚染
    • こころの持ち方
高血圧症

長い時間をかけながら進行して、からだ中の血管障害を起こす原因になる

血液は心臓の収縮と拡張のくりかえしで体内をかけめぐります。収縮時は血液の流れが多く血管壁につよい圧力がかかり、拡張時は流量が少ないため圧力が弱まります。高血圧は、この圧力が一定以上に高い状態です。

高血圧によって、つねに血管につよい圧力がかかれば、それだけ血管壁は傷みやすく、動脈硬化といった血管の弾力性がうしなわれた状能に陥ります。

 

動脈硬化は心臓病や脳卒中など、合併症の引き金となるものです。高血圧はその95%以上が原因不明で、これを「本態性高血圧」といいます。遺伝的な素因のほか、塩分や脂質の過剰摂取、運動不足、肥満、ストレス、喫煙、アルコールなどの生活習慣の不摂生があげられます。

 

高血圧には特有な症状はありません。長い時間をかけて進行するもので、次第に血管を障害していきます。その結果、動脈硬化を原因とした心臓病や脳卒中など、合併症の引き金となります。つまり、何らかの自覚症状がでてきたということは、すでにこれらの合併症を発症している可能性が高くなります。

これは生活習慣病全般にいえることでもあるのですが、自覚症状が出てきたときは、病気がかなり進行している状能であることが多く、高血圧症はさまざまな病気を誘発する原因であることを理解してください。

  • 高血圧で受診する場合のポイント
    • 初診に適した科目…内科、循環器内科、腎臓内科
    • 入院の可能性…外来で可能
    • 薬物治療の目安…継続的な服用が多い
    • 治療期間の目安…継続的治療(生活習慣の改善)が必要
    • 診断・経過観察に必要な検査…血液・尿、単純レントゲン、超音波検査、心電図
高脂血症

肉や脂肪の摂り過ぎから生じる動脈硬化の最大リスク要因

私たち体内を流れる血液中の脂質には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸があります。

本来、コレステロールや中性脂肪はからだにとって重要な成分ですが、適正基準をこえて増えすぎることで問題が生じてきます。なかでも悪玉コレステロールとよばれるLDL (低比重リボタンパク)の増加は、動脈血管内に沈着してしまい血管壁を硬くさせる動脈硬化の原因とされています。また、中性脂肪の増加は、余分なコレステロールを掃除するHDL (高比重リボタンパク) を減らし、さらに血管内の環境を悪くします。

高脂血症は、血液中のコレステロールと中性脂肪の一方、または両方が増加する状能のことをいいます。自覚症状もほとんどないため見過ごされがちですが、そのまま状態が悪化していくと、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの病気につながっていくことが知られています。

高脂血症は遺伝的な要因が引き起こす家族性高脂血症と、糖尿病や肥満、過飲過食などで生じる二次性高脂血症の2つに分けられ、後者は予防や生活習慣の改善によって悪化を防ぐことが容易です。

  • 高脂血症の基本的な対応
    • 食事療法…総コレステロール、中性脂肪の低下が期待できる
    • 摂取カロリーの制限…適正体重をい維持するために必要
    • 適正な栄養バランス…中性脂肪が高い場合は禁酒、糖分の制限なども
    • 抗酸化物質の摂取…酸化LDLの抑制としてポリフェノールやビタミンC・Eなどが有効
    • 運動…激しくなくても継続的に行うことが大切
糖尿病

悪化するとさまざまな合併症を併発する恐ろしい病気

年々増加傾向にある病気のひとつとされる糖尿病は、血液の中に含まれる糖の濃度 (血糖値) が高い状態のまま続く病気です。

健康な人の場合、食後一時的に血糖値は上がりますが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモン作用により血糖値をもとの状態にもどしてくれます。ところが糖尿病に罹ると、糖(ブドウ糖)が体中にあふれて、本来は尿中に含まれることがない糖が、尿の中にまであふれてくることから糖尿病と名づけられました。

このため、血糖値が長い時間にわたり高い状態が続くと、体中で血管障害を招くことになります。とくに目の網膜、腎臓、神経など毛細血管が集中する部位を中心に障害をもたらし、その症状も生命に関わるほど大変重篤なものへと発展します。

のどが渇く、トイレが近くなる、疲れやすい、食べてもやせる、といった症状が進行すると現れますが、基本的に糖尿病の症状は自覚症状が少ないため、かなり悪化した状態ではじめて気がつくケースも少なくありません。

また「三大合併症」(糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性精神障害) もさることながら、動脈硬化による狭心症、心筋梗塞、脳梗塞の危険が増えるほか、足の血管の閉塞による壊疽な重篤な障害を引き起こすのが特長です。

  • 糖尿病の基本的な対応
    • 食事療法…年齢、性別、肥満度、活動量、血糖値、合併症、の有無などを考慮し、一日のエネルギー摂取量を決めます。
    • 運動療法…歩行活動では1回15~30分、1日2回(7000歩/日以上程度)が適当とされています。
    • 薬物療法…経口血糖降下薬、スルホニル尿素、即効性インスリン分泌促進薬、αーグルコシダーゼ阻害薬、インスリン抵抗改善薬
    • インスリン…すい臓から十分にインスリンが分泌されない場合、外から注射などでインスリンを補充します。
痛風

痛みはおさまるがそのまま放置すると腎障害など合併症の恐れあり

ある日突然、足の指やひざの関節に激しい痛みが生じて少しも動けなくなるというような症状をみせるのが痛風です。血液中に尿酸という物質が増えすぎてしまったために起こるこの病気は、およそ大半が足の指関節の痛みによって病気であることが発見されます。

尿酸はもともと「プリン体」とよばれる物質が体内で分解されてできたものですが、食事で摂ったり、代謝活動によって産生され、それが肝臓で尿酸となり腎臓で老廃物となって体外へ排泄されるものです。

尿酸がふえてしまう原因には、体内での尿酸合成が多すぎたり、プリン体を含む食べ物を摂り過ぎてしまうことがいわれています。さらには、尿酸の排泄がスムーズに行なわれない条件が病気を引き起こします。

なかでも、急性関節炎というかたちで現れる症状は、活動的な中年男性に多く、飲酒、高プリン食、過労、外傷、ストレスなどが誘因となって発症します。はげしい痛みは一時的におさまる場合が多く、そのため治療をせずに放っておくと関節の周囲や軟骨、皮下組織などにも尿酸の結晶がたまりこぶとなつて(痛風結節)現れることがあります。

また、尿酸は腎臓から尿として排出されるので、処理できない尿酸が腎臓内に結晶化して腎障害、血圧上昇、むくみ、心悸亢進などを発症することもあります。

  • 痛風発症のおもな特徴
    • 手足の末端小関節の急性関節炎の形をとることが多い。
    • 足の親指の付根関節が侵されやすい
    • 突然に発症し、6~24時間で痛みは最高に達する
    • 局所の発赤、発熱、腫れをともなう
    • 症状は3~4日持続したあとは消えはじめ、2~3週間で消失
    • 間欠期は長く、炎症症状は完全に消失する
    • 治療しなければ関節炎は短縮する
    • 局所の発初期では関節の変形や運動制限がみられない
肥満

食習慣の偏向から生じる肥満は内臓脂肪の蓄積がとくに問題

肥満は遺伝的および環境要因によるカロリーの過剰な摂取の結果、脂肪の蓄積が増加した状態です。肥満には、糖尿病、高脂血症、高血圧などの合併症が多くみられます。肥満にともなう合併症は、肥満度そのものよりも 体内脂肪分布が重要となり、とくに内臓脂肪の蓄積が着目されます。

近年、レプチン、PAⅠ-1、アディポネクチンなど、脂肪細胞から分泌される物質が明らかになっています。これらが直接、肥満合併症に関連するといわれています。

肥満を決める指標に体格指数=BMIが用いられます。

BMI=体重kg÷(身長m×身長m)

この計算から、BMI25以上を肥満としていますが、BMI22はBMI25と比較して、病気発生の危険性が約半分と少なく、最も病気を発生にくい体格といわれています。食生活などの環境要因も考慮した場合には、日本人の基準はBMI22以下ともいわれています。

  • 肥満の基本的は対応
    • 食事療法…特に脂肪を制限し、十分なタンパク質を取り一日の摂取カロリーを標準体重1kgあたり20~25kcalに制限。
    • 運動療法…呼吸をしながら全身を使うウォーキング、ジョギング、水泳、エアロビクスなど、無理をせずに適度な量で続ける行動療法
      肥満と関連する行動習慣の改善として、間食、欠食、まとめ食いなど食習慣改善の環境を整える
    

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