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グローバルより顔なじみ② 顔馴染みは双方向、有名は一方通行
2004.5~2005.4 グローバルより顔なじみ② |
ばんぶう 2004.6 日本医療企画 |
「グローバルなんて気取るより、これからの僕は顔馴染みを大切にして、こじ んまりと生きてゆきたいと考えるようになった」と、最近、話すことが多い。すると、意外や意外、「私もそう思います!」と友人たちから賛同共感の嵐(少し大袈裟か?)なのである。心理学でいうところの人間関係の基本は「ストローク」と呼ぶ人間同士の触れ合いである。つまり、一番基本的日常的なストロークは「挨拶」ということになり、「おはよう」「ありがとう」「よおっ」などがそうである。反対に、マイナスストロークの最大のものは何であるか、想像がつくであろか? 悪口、陰口、中傷、攻撃などではなく、答えは「無視」、つまり「しかと する」ことなのである。
世の中、マスコミやテレビの一人勝ちの様相が強い。有名になることが勝利のように見える。日本人やアメリカ人などは概して有名人に弱い。実際の家 族や友人のことよりも、芸能人の私生活のほうをよく知っている人も冗談では なく多い。たとえば、料理の鉄人の店などといって、こちらは相手を知っていても、向こうはこちらを知らない。平たく言えば、どんな人が食べるかもわからず料理をしていることになる。有名人とのストロークは実は一方通行なのである。お互い顔の見えないことを嫌って、インターネットでも「顔の見える販売」などといって、製作者や店長の顔や人柄が見えるような販売形態をとって人気を博しているところも多い。しかし、これも所詮は一方通行のストロークである。
ところが顔馴染みの人とは、双方向のストロークを持つことができる。この両者のストロークの質には雲泥の差がある。質の高いストロークを体験してこそ、人間の心は成長するし、大体からして人間らしい面白みがある。携帯電話、メールでしか話せない若者、仮面をかぶってしか人と接することができない歪んだ大人たちは双方向のストロークが欠如しているといえるのではないだろうか。
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